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第三十六章 悲しみと怒りの先に
健人と共に朝食を摂りながら、由宇は乃亜と圭吾からのメッセージを次々と受信していた。
もう、初めての時のように驚きはしない。
落ち着いて、受信データは声に出して健人へと伝えた。
「圭吾さんは、まだパートナー候補の女性に会ってはいません」
「うん」
「彼女に引き合わされる前に、結婚命令を撤回させたい、と望んでいます」
「なるほど」
健人は、その言葉に圭吾の思いやりを感じた。
「確かに、顔を合わせてから断ったんじゃ、相手の心を傷つけかねないね」
優しい人だ、圭吾さんは。
会ったことも無い男性だが、健人は彼に好感を持った。
第二性が、同じアルファ。
しかも、年齢まで一緒の30歳だという。
由宇の報告を受けながら、健人は圭吾のイメージを固めていった。
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