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静かになってしまった、健人と由宇の食卓。
乃亜や圭吾の身の上を思うと、しんみりとしてしまうのだ。
しかし、そうしている間にも、彼らからメッセージは届く。
由宇は黙って口をもぐもぐさせながら、それを受診していたが、急にクロワッサンを喉につかえさせて、むせた。
「ぅぐ! ぐ、うぅ、んむぅ!」
「だ、大丈夫? 由宇くん!」
健人が差し出したグラスの野菜ジュースを飲み干し、由宇は何とか落ち着いた。
「何があったの?」
「重大なメッセージが……」
「どんな? 私が聞いても、いいのかな?」
「最終的に圭吾さんは、乃亜さんを外の世界へ連れ出したい、と言っています!」
それは。
どう、リアクションすればいいんだろう。
いや、逆にとらえるんだ。
真剣に、親身になって考えるんだ。
「二人で施設の外へ出る。そんなささやかなことさえ、許されない環境に、彼らはあるんだね?」
「はい。乃亜さんは、生まれた時からずっと。圭吾さんは22歳の時からです」
「何て、ひどいことを……」
あまりに過酷な、二人の境遇だった。
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