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乃亜は、10歳で一つの研究チームを任された。
圭吾は、その時22歳。
そして彼は、乃亜を支えるアシスタントたちの、リーダーに就任した。
「乃亜さんの存在を知るポストに就いたからには、秘密を厳守しなくてはなりません」
「だから圭吾さんまで、外部との接触を断たれたのか」
乃亜も圭吾も、優秀な人材だ。
だが、それが災いして、人間としては扱われていないのだ。
「怒ったぞ、私は!」
「健人さん!?」
「やろうじゃないか、由宇くん! 乃亜さんと圭吾さんを、自由の身にするんだ!」
「それは……不可能です」
「えぇっ?」
はい! と歯切れの良い返事を待っていた、健人だ。
期待は裏切られたが、ニコッと笑顔を見せた。
「大丈夫だよ、由宇くん。きっと、巧くいくから」
「でも……」
由宇は健人に、研究施設のセキュリティ対策を教えた。
厳重な、情報チェック。
非常に厳しい、警備。
「たとえ職員でも、規則違反の行動を取れば、警備員から詰問されます」
だから、外部の由宇たちは入り込めないし、乃亜たちが出ていくこともできない。
そう語り、由宇はうなだれた。
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