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 セキュリティゲートを後にし、研究所内へと進んだ乃亜は、いや、由宇はにっこり笑った。 「巧くいきました、健人さん」 「さすがは、由宇くん」  乃亜と瓜二つの由宇が彼になりすまし、見事に警備員たちを欺いたのだ。  一緒のエンジニアは、当然ながら健人だ。  乃亜と圭吾、由宇と健人の四人で話し合った結果、まずは会おうと意見が一致した。  そこで、二人が特別研究所へと侵入する運びとなった、というわけだ。 「僕、少しドキドキしました」 「乃亜さんは、由宇くんとは性格が違うようだね」 「はい。どちらかというと、ヤンチャです」 「なるほど、ね」  健人は、ぐるりと研究所内を見渡した。  温度湿度が、完璧に管理されている空気は、かすかに消毒液の香りがする。  白い壁には絵など無く、もちろんグリーンも飾られてはいない。  磨き上げられたフロアは、ただそこに立つものを映すのみ。  まさに殺風景で無機質な、監獄のような場所だった。

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