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 世界では、無人兵器の開発が進み、それらは次々と実用化されている。  桁外れに高額な戦闘機や戦車に比べると、タダのように安く済む自爆型ドローンなどがそうだ。 「しかし、そういったシンプルな機械は、簡単に撃墜されてしまう」 「ハッキングされて、逆に味方へ突っ込んでくる危険性もあるしね」  圭吾と乃亜は、眉ひとつ動かさずに、淡々と語った。 「そこで、ヒト型の死なない兵器を造ろうと考えた愚か者が、現れたんだよ」  汎用性の高いヒト型ロボットは、危険作業に導入する目的で、造られた。  さらに一歩踏み込んで、介護などに使用する、アンドロイドの開発が、進んだ。  ヒトそっくりの方が、病人や高齢者、障がいを持つ人間には、心に優しいからだ。 「僕は、そういった介護アンドロイドを設計するプロジェクトと説明を受けて、取り組んでいたんだ」 「だが、上層部からの要求に、乃亜さまは疑問を抱いたんだ」 「圭吾さん! また乃亜さま、って言ってる!」 「ご、ごめん!」  乃亜の上長は、奇妙な提案を次々に寄こしてきた。 『衝撃に耐えうる極超薄型の装甲を、皮膚として使え』 『腕に、サバイバルナイフを仕込ませろ』 『体内に、ステルス爆弾を埋め込んでみろ』  これらの命令に、乃亜は自分の研究が軍事目的なのだと悟った。

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