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「僕は、面白い実験や研究ができれば、それで満足だったんだ。だけど……」 「この頃から、俺と乃亜は互いを意識するようになったんだ」  人間の情緒や愛を知り始めた乃亜は、戦争目的の開発に嫌悪感を示した。  そして、ある命令を受けて、反旗を翻す決心をしたのだ。 『アンドロイドだとは絶対に見破れないタイプを、造れ』 「セクソイド機能も搭載しろ、だって。ハニートラップができる、スパイアンドロイドを造れ、ってことだよね」  まず、狙った要人に近づき、恋仲になって信頼関係を築く。  そして、油断させておいて、機密を聞き出す。  そんな任務をこなせるアンドロイドを造れと、命令が下されたのだ。  今まで淡々と話していた乃亜の表情が、くすんだ。  人間の愛情まで利用して、情報を得るなんて。  そして、国家同士の争いに持ち込むなんて。  僕は、絶対にやりたくない。  そんな乃亜の心の声が、健人には聞こえた気がしていた。  軍部などの組織では、高いレベルのセキュリティーが必要なコンピューターは、ネットに繋がない。  ネットワーク経由でのハッキングを、防ぐためだ。  それができない、となると、あとは施設に携わる人間に、接触するしかない。  そこで、由宇のようなアンドロイドが必要とされたのだ。

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