192 / 256
第三十九章 戦略決定!
『この子を選んでくれて、ありがとう。
名前は、由宇(ゆう)といいます。
どうか、幸せにしてあげてください』
乃亜が書いた、心の叫びにも似た手紙。
そして、望み通り幸せを掴んだ由宇が、目の前にいる。
愛する健人と共に。
「良かった。由宇は、幸せになれたんだね」
「はい。健人さんのおかげです」
二人の会話に、健人は顔を赤くして照れた。
「の、乃亜さんも幸せにならなきゃ!」
外へ出て、自由の空気をいっぱいに吸うんだ。
「圭吾さんと一緒にね!」
「うん。ありがとう、健人さん」
素直に微笑み、うなずく乃亜だ。
その姿に、圭吾は喜びを噛みしめた。
人の心をまるで理解できなかった乃亜が、こんなに素敵な笑顔を見せるようになったのだ。
「では次に、俺のアイデアを聞いてもらおうかな」
ひとりでに弾む声を隠すことなく、圭吾はデスクに手を置いた。
恋人と、二人の仲間に囲まれ、彼もまた希望の光を胸に灯していたのだ。
ともだちにシェアしよう!

