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「由宇、安心して。決して、彼らを悪いようにはしないから」
「乃亜さん」
そこで乃亜は、健人を見た。
「健人さんの住まいは、マンション? それとも一戸建て?」
「一戸建て、だよ」
「広い? 平屋? 庭はある?」
「70坪くらい、かなぁ。二階建てで、庭も駐車スペースもあるよ」
この緊迫した状況で、妙なことを訊くもんだ。
そう思いながらも、健人は乃亜の質問に答えた。
健人の両親が遺してくれた物件は、とても贅沢な広さを持っている。
いずれは二世帯で住みたいね、とゆとりたっぷりに造ったからだ。
土地は曽祖父の代から、長谷川家の所有地だ。
地代が掛からない分、家屋に予算を回すことができた。
そんな両親の説明を、ふと思い出していると、乃亜の指を鳴らす音が聞こえた。
「よし! 健人さんのお宅へ、みんな連れて行こう!」
「ええっ!?」
驚き、声を上げてしまった健人。
しかし、後の二人の反応は違った。
「大賛成です! 素敵です!」
兄弟たちと共にいられると、大喜びの由宇。
「頼もしいボディガードたちが一緒だと、心強いな!」
手を打ってうなずく、圭吾。
多数決で、健人宅への居候がたくさん増えることとなった。
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