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「準備、良し。由宇、彼らを起動させてみて」
「はい」
由宇は心の中で、まだ見ぬ兄弟たちに語り掛けた。
(みんな、起きて。そして、僕たちの脱出を手助けして欲しいんだ)
彼の呼びかけに、保管庫の軍用アンドロイドたちは一斉に目覚めた。
『どうぞ、ご命令を。ジェネラル・由宇』
命令、だなんて。
僕はみんなに、お願いしたいんだよ。
『僕らは、乃亜さんが造ってくれた、同等の存在。兄弟のはずだよ?』
『兄弟?』
『そう。兄弟だよ!』
『兄弟……由宇と私たちが、兄弟……』
兄弟、という由宇の言葉に呼応して、アンドロイドたちに自我が芽生え始めた。
じっと由宇の様子を慎重にうかがっていた乃亜が、声を掛けた。
「由宇、アンドロイドは全部で11体しかいないんだ。それぞれの配置、決められる?」
「11人ですか、少ないですね。小隊にも満たない、分隊となると……」
乃亜と由宇は難しい顔をしたが、そこへ健人が気軽につぶやいた。
「11人だと、サッカーチームが作れるなぁ」
「それです、健人さん!」
「え!? 私、何か言った!?」
「11人を、サッカーチームになぞらえて割り振ります!」
つまり、由宇たちの前方で働き、道を切り開くフォワード。
由宇たちの周辺で警護に当たるのが、ミッドフィルダー。
そして、後方で追っ手を遮る担当が、ディフェンダー。
ざっくり分けて、こんな具合だ。
由宇は、急いで兄弟たちに指令を送った。
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