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「フォーメーションは『4-2-3-1』で、お願い。各自の特性に合わせて、ポジションを決めよう」
サッカーで言う『4-2-3-1』であれば、DFが4人、MF(守備寄り)が2人、MF(攻撃寄り)が3人、FWが1人と読み取れる。
由宇の指示に、さっそく兄弟たちの思考が定まった。
すぐに、自己紹介も兼ねた、ポジショニングを伝えてきた。
『OK。俺が一番大柄だから、センターフォワードになろう。ボディにロケットランチャーを内蔵しているから、壁にだって大穴を開けられるぜ!』
『私も大柄だが、スピードには定評がある。センターバックとなって、追っ手の動きを読み取り、始末しよう』
『じゃあ僕は、オフェンシブミッドフィルダーだね。狭いスペースでも機敏に動けるし、小柄だけど、当たり負けしない強いボディだから、由宇たちを守れるよ』
実に頼もしい、兄弟たちの申し出だ。
由宇は、その一つひとつにうなずきながら、感謝した。
そして最後に、お願いをした。
「ありがとう、みんな。だけど、約束して欲しいんだ。ヒトは、絶対に殺さないで」
兄弟たちは、その願いに疑問を持った。
なぜ、ヒトを殺してはいけないのか?
軍用アンドロイドとして開発された彼らにとって、それはプログラムされていない。
敵の人間は、いくらでも始末しろ、と設定され、訓練されてきたのだ。
それでも、由宇から伝わってくるデジタル信号には、強い意思が感じられた。
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