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「僕は今まで、いろんな人たちと関わって来たんだ。誰もが、精いっぱい生きていたよ。そんな命を、むやみに奪っちゃいけないと思う」  由宇の訴えは、軍用アンドロイドたちのAIをも動かした。 『OK、殺さないぜ』 『軽症で済むよう、配慮する』 『なるべく、傷つけないよ』  仲間たちの信号を受信し、ありがとう、と由宇は微笑んだ。  そして、傍らに立つ健人を見上げた。 「みんな、協力してくれます。さあ、健人さ……ん?」  健人は、何かブツブツ言いながら、しきりに指折り数えているのだ。 「どうかしたんですか?」 「いや、あの、ね。11人で『4-2-3-1』って。どう考えても、一人足りないんだよね」  残る一人は、一体どこに?  それには、乃亜が応えた。 「残る一人は、由宇だよ。健人さん」 「あっ、なるほど。そういうことか!」  健人は手を鳴らすと、由宇の髪を撫でた。  その形の良い頭を抱き、優しく額を合わせた。 「由宇くんは、ゴールキーパーだ。私の守護神、だね」  彼が私の隣にいてくれる限り、どんな困難にも打ち勝てる。 「頼りにしてるよ、由宇くん」 「任せといてください、健人さん」  二人の絆は、ここでまた強く結ばれた。

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