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健人の笑顔に、圭吾は感心していた。
一瞬にして、アンドロイドたちの信頼を掴んだ、健人。
その手腕に、驚いた。
(厳しい一般社会の中を、潜り抜けてきただけのことはある、というわけか)
そこへ、彼の賢い恋人がやって来た。
「さすがは、健人さんだね。圭吾さんには、あんな事できないでしょ?」
「乃亜」
「彼の言動に、下心や演技は無いよ。全てが本音で、真実なんだ」
「確かに。俺が同じことをやるとしても、それはアンドロイドを信用させるための策略だ」
由宇は以前、健人さんのことを、こんな風に言ってたっけ。
吉井 美咲の言葉を借りて、ちょっぴり意地悪に。
「甘くて、チョロい。健人さんに、そう由宇は言ってたよね」
「ああ。だが彼は、限りなく優しい男だ」
圭吾も乃亜も、初めて会ったのに、少し会話をしただけなのに、彼を好きになっていた。
信頼できる仲間だと、認めていた。
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