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 乃亜たち四人が、アンドロイドの助けを借りて、回廊を駆け出した。  そこまで来て、司令部はようやく慌て始めた。 「まさか、ここから脱走するつもりか!?」 「シャッターを降ろせ! 早く!」  遠隔操作で、回廊に次々と、何枚もの防護シャッターが降り始めた。  化学、生物、放射性物質、爆発物など、あらゆる事態を想定して設けられた、強固な壁だ。  だがしかし。 「無駄だぜ!」  センターフォワードのアンドロイドが、叫んだ。  ボディにロケットランチャーを内蔵している、彼だ。  最前線で、突破口を切り開くポジションを担っている。  背後の四人たちが、まだはるか後方にいることを確認すると、内線信号で伝えた。 『これから、壁を爆破していく。充分に距離を取って、巻き込まれないようにしてくれ』 『了解。念のため、曲がり角で待機するよ』  由宇たちを守るアンドロイドが、FWの声を伝えた。 「今から、爆弾でじゃんじゃん壁を壊す、だって。危ないから、ちょっとここでストップ」 「まさか、ホントにロケットランチャーで?」  健人は恐る恐る、訊ねた。  もともと個人携帯用のものは、対戦車兵器として使われる場合が多い武器だ。  爆撃防護をしていない小さなビルならば、倒壊するほどの威力がある。 「それに……」 「始まるよ。耳をふさいで!」  健人はまだ言いたいことがあったが、経験したことのない轟音に、思わず耳をふさいだ。

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