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 数十メートル先から聞こえてくる爆発音は、二度、三度と続いた。  轟音にかき消されないよう、健人は大声で護衛アンドロイドに訊ねた。 「ねぇ! MFくん!?」 「なに?」 「ロケット弾って、普通1発しか装填しないんじゃないかな!?」 「何で?」 「何で、って。軽量化のために、使い捨てを……」  あはは、と護衛アンドロイドは笑った。 「乃亜さんが開発したボディを、持ってるんだよ? どんだけ重くたって、平気さ!」  それに応えるように、再び爆音が響いた。  しかし、今度はかなり遠くからのようだ。 『脱出経路の確保、完了した。建物の外に、出られるぞ!』 『やったね!』 『後は頼んだぞ。由宇たちを、安全にここまで連れて来てくれ』 『任せて!』 『俺は続けて、敷地外への通路を作る』 『了解!』  アンドロイド同士の通信を終え、振り向いたMFの表情は明るかった。 「さあ、行こう。由宇!」 「うん!」  彼に導かれながら、健人は由宇の変化を噛みしめていた。 (由宇くん、ったら。はい、ではなく、うん、と返事してたな!)  気の置けない仲間が、かけがえのない友達が、彼にできたのだ。  それは健人にとっても、嬉しいことだった。

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