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『アンドロイドは、破壊しろ。どうせ奴らは、試作品だ』
そんな命令を、隊員たちは上層部から受けていた。
『設計データは、こちら側にある』
『たとえ奴らが壊れても、またいくらでも造ることができるからな』
あまりにも傲慢不遜な、ヒトの考えだ。
隊員たちの中には、その命令に疑問を持つ者も少なからずいた。
(せめて、脳は。AIは、損傷させずに……!)
乃亜たちを囲んで守るアンドロイドたちに、隊員たちの発砲が始まった。
その半数は、頭ではなくボディや足を狙ったものだ。
彼らの思いは、行動に現れていた。
『おい。なぜ、体を狙う?』
『頭を壊せば、奴らは動けなくなるんだぞ!』
『しかし。いくらアンドロイドとは言え、無下に破壊しなくてもよいのでは?』
『彼らは、人間を守っています。正常な動作をしているのですよ?』
特殊部隊は、何も追跡者を狙撃して殺すための組織ではない。
できる限り生かして逮捕し、事件の経緯を明るみにすることも、重要な仕事だった。
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