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由宇は、隊員たちの無線通信での会話を、傍受していた。
「この施設内にも、僕たちを大事にしてくれる人がいる……!」
彼はとっさに、反撃に出ようと構えるMFたちを引き留め、今一度念を押した。
「お願い。大ケガさせたり、死なせたりしないでね!」
「解ってるって」
「良い人も、いるみたいだしね」
「僕ら2人は、ディフェンスとして乃亜さんたちを守るよ」
「よし。じゃあ僕らは3人で、オフェンスに移ろう!」
二手に分かれ、由宇の兄弟たちは行動に移った。
『アンドロイドが、分散しました!』
『こちらに向かって来る3体を中心に、攻撃する!』
『了解……は、速い!』
オフェンスMFのアンドロイドたちは、まばたきする間に隊員たちへ肉薄していた。
「甘いなぁ」
「もっと僕らのこと、勉強してよ」
「良い実戦経験、だね」
彼らの笑顔が、隊員たちには死神の微笑みに感じられた。
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