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こうなったらもう、早くステーキを食べたくて仕方がない。
MFアンドロイド5人は、すでにその場から離れようとしている。
「それなら、早く!」
「脱出しよう!」
「急いで!」
「ぐずぐずしない!」
「走って!」
彼らに急かされ、健人も走り始めた。
ふと、由宇を見ると、彼もこちらを向いている。
目が合い、自然と笑みがこぼれた。
「ねぇ、健人さん」
「何だい? 由宇くん」
走りながら、二人は言葉を交わした。
「僕にも、ご褒美はありますか?」
「えぇっ?」
まさかの、由宇からのおねだりだ。
何も考えてませんでした、とは言いにくい。
そこで健人は、一番スタンダードな返事をした。
「由宇くんのお願い、何でもきいてあげるよ」
「ホントですか? 絶対ですよ!?」
「うん。だから、こんな所からは、早く出ようね」
「はい!」
由宇もまた張り切って、駆け出した。
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