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 必死で出口へ急ぐ由宇たちだが、その背後に追っ手が迫っていた。  研究所内の、警備員たちだ。  特殊部隊は、全員が由宇たちの元へと出向いており、残るは軽武装の人間しかいない。  それでも日々鍛錬を重ね、有事のための訓練は何度も繰り返してきた、猛者ぞろい。  屈強な肉体を持つ上、空手、柔道、合気道などの段位を身に着けているのだ。  そして軽装とはいえ、防刃、防弾の機能を持つ、特殊繊維で編みこまれたプロテクターを着ている。  さらに拳銃や警杖で武装しており、ヒト相手ならば簡単に確保できる、精鋭だった。  しかし、そんな警備員たちの前へ、立ち塞がる者がいる。  由宇らの後方安全を守る、DFアンドロイドの4人だ。  その姿に、追っ手は立ち止まり、緊張した。 「出ました。アンドロイドです」 「数は、4人。手には、武器を持っていません」  警備員は、無線で司令部と連絡を取った。 『体内に、武器を隠し持っている。油断するな!』 『即座に始末しろ!』  上官の命令は絶対だが、警備員たちはためらった。  目の前の4人は、どう見ても人間そっくりなのだ。  それも、背は高いがマッチョタイプではない。  姿かたちが上品で、すらりとしている優男だ。  明らかに自分より弱そうな相手を、暴力でねじ伏せる。  そんな行為はポリシーに反する、と警備員たちは考えた。

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