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 司令部からは、即座に始末しろ、との命令だ。 (しかし。相手の防衛力や火力は、どの程度か?) (少し攻撃した途端、倍返しされると厄介だ)  なにせ相手は、軍事用に開発されたアンドロイドなのだ。  現場の人間らしい判断で、警備員たちはまず銃を構え、大声で怒鳴った。 「腹這いになり、手足を広げろ!」 「抵抗しなければ、発砲はしない!」  彼らの声に、DFアンドロイドたちは顔を見合わせて、相談した。 「ああ言ってるが、どうする?」 「知れたこと。もちろん、無視して攻撃だ」 「いや、待て。由宇は、ヒトを殺傷しないで欲しいと願った」 「そうだったな。面倒なことだ」  このDFアンドロイドたちは、グレネードランチャーを体内に秘めている。  対人用だけでなく、陣地や建物などにも臨めるよう、多種多様な弾種が用意されていた。 「発煙弾は?」 「時間稼ぎにしか、ならない」 「催涙弾は?」 「敵は、ちゃんとゴーグルを付けているぞ」 「いっそ、エアバーストで」 「相手が全滅してしまう」  うぅん、とアンドロイドたちは唸ってしまった。  殺さない、ということは、ずいぶん難しいものだ。

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