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輪になって話し合っているアンドロイドたちを、警備員は不気味に感じていた。
「何か、悪い策を練っているのか?」
「投降か攻撃か、迷っているのでは?」
警備員たちは今一度、彼らに警告を出そうと、ハンディマイクを口元に持ってきた。
ところが、逆にアンドロイドが声を上げてきたのだ。
「我々は、君たちを殺傷することを目的としていない」
「これより、目つぶしのため特殊閃光弾を放とうと思う」
「一時的に視力を失うだけなので、安心するように」
「では。3,2,1……」
カウントダウンの間、警備員たちは慌ててゴーグルを装着し直した。
それだけでなく、腕で顔を覆い、しっかりと目を閉じた。
だが、0の合図で撃たれたのは、閃光弾ではなかった。
それは、ネットランチャー。
いわゆる、投網だ。
不審者捕獲用の銃タイプは、民間のオフィスにも置かれるようになっている。
しかしこれは、軍用のネットランチャーだ。
強化ポリエステル製の糸で編まれており、素手で切ることはできない。
放射線状に発射されたネットは、警備員たちに覆いかぶさり、からまった。
「ネット、だと!?」
「閃光弾じゃなかったのか!」
「う、ウソつき!」
慌て、わめく警備員たちは、何とか脱出しようともがいた。
しかし、このネットは、もがくほど余計からみつく網構造なのだ。
アンドロイドは念入りに、そんな忌まわしいネットランチャーを、4発もお見舞いした。
「助けが来るまで、そうしていなさい」
「私たちは、これで失礼する」
「急がねば」
「由宇たちに、早く追いつこう」
追っ手を巧く巻いて、最後のアンドロイドたちも走り出した。
行く先は、この特別研究所の敷地外。
そこに、健人が手配した自動車が待っているはずだ。
未知の世界への希望は、彼らの胸にも輝いていた。
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