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第四十四章 外の世界へ

 とにかく、この特別研究所という名の監獄から、逃げ出さなければならない。  健人と由宇、乃亜と圭吾、そしてアンドロイドたちは走りに走った。  途中、真っ先に体力が尽きたのは、乃亜だった。  無理もない。  生まれた時から、ここに閉じ込められて育ったのだ。  長い距離を全力疾走するなんて、初めてなのだから。 「悔しいな。ちゃんと、ジムで体力づくりはしてるのに!」 「仕方がない。使う体力の質が、違う」  そう言う圭吾も、すでに走るどころか早歩きも苦痛になっている。  二人とも、アンドロイドに背負ってもらって、移動中だ。 「由宇くん、ごめんね」 「これくらい、平気ですよ。健人さん」  健人は由宇の背に、その身を預けている。  由宇は、自分より大柄な健人を背負って走っても、息切れひとつしていない。 「やっぱり由宇くんも、ゴリラだったんだね……」 「え? ゴリラ?」 「いや、何でもないよ!」 「変な健人さん」  研究所を出て、中庭を走り。  広い緑地を抜けて、ついに辿り着いた。 「ここだ! 待ってたぞ!」  先に突破口を造っていたCFアンドロイドが、大きく手を振っている。  研究所の敷地外へと、脱出したのだ。

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