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 最後尾のDFアンドロイドたちもすぐに追いつき、全員が集まった。 「ここが、外の世界……?」 「研究所の外……いいのか? 出ても、いいのか?」  喜びがまだ実感として湧かないのか、乃亜を始め、由宇の兄弟たちも戸惑っている様子だ。  そんな彼らに、健人は声を掛けた。 「外への第一歩、だよ。本当の自由は、ここから始まるんだ。一歩ずつ、踏み出そう」  そこへ、猛スピードで走って来た自動車が、彼らの前で急ブレーキを踏んで停まった。  ボディサイズが5m以上はある、フルサイズSUVだ。  すぐに左側のフロントガラスが開き、威勢のいい声が聞こえてきた。 「説明は後よ! 早く乗って!」 「美咲さん!?」  驚く由宇の隣で、健人が困惑している。 「吉井さん、説明、って……。車の手配を頼んだのは、そもそも私なんだし……」 「長谷川さん、ノリが悪ぅい。一度、言ってみたかったんだもん!」  その後ろから、同じようなSUVがもう一台停まった。 「美咲、悪ふざけは後だ! まずは、ここから急いで離れなきゃ!」  こちらのドライバーは、彼女の婚約者・大輝だ。  彼は美咲とは真逆で、必要以上に焦っている。 「高橋さんの言う通りだ。さあ、二手に分かれて、乗って!」  健人に促され、その場の15名は車に乗り込んだ。  広い室内空間を備えているフルサイズSUVは、大型のCFアンドロイドでも楽に乗れる。  走り出した車内では、次第にリラックスしてきたのか、乃亜がお喋りを始めた。

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