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「ここが、健人さんの家かぁ!」
「小っちゃい!」
「まるで、モルモットハウスだね!」
「ステーキは、いつご馳走してくれるの?」
「ねぇねぇ、早く中へ入ろうよ!」
賑やかなMFアンドロイドたちは、大騒ぎだ。
「参ったな。自分では、これでも広い家だと思ってたのに。モルモットハウスか」
「研究所と比べれば、どんな豪邸でも彼らには狭く感じるだろう」
健人は、圭吾とそんな会話をしながら、玄関のセキュリティを解いた。
物珍しさに屋内へ駆け込もうとする兄弟たちに、由宇の指導が入る。
「土足で上がっちゃ、ダメ! スリッパ、履いて!」
「スリッパの数が、足りないぞ」
「あ、そうか。待っててね、タオル持ってくるから、それで足を拭いて!」
そういえば、アンドロイドたちは靴を履いていない。
服は、簡素な健診衣のようなものを、身に着けているだけだ。
彼らの世話を焼き、一息ついた由宇は、健人に笑顔をよこした。
「ね、健人さん。僕の兄弟たちの、服や靴を買わないといけませんね!」
それはまぶしい、とてもいい笑顔だった。
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