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特別研究所で働くスタッフたちは、極めて優秀な人材を集めてある。
乃亜ほどではないが、生命工学に長けた者が、新たな攻撃型アンドロイドを造るかもしれない。
由宇ほどではないが、ハッキングに長けた者が、兄弟アンドロイドたちのAIに侵入するかもしれない。
何より一番厄介なのが、それらを統括する頂点が、この国の政府だということだ。
研究所がそちらに救援を依頼したら、無実の罪をでっちあげられて、即・逮捕だ。
(そして、私や乃亜さん、圭吾さんは、闇から闇に葬られるだろう)
国家に背いた天才科学者たちなど、生かしておくと危険極まりない。
他国へ亡命し、こちらに対して牙をむくかもしれない。
上層部が、そんな危機感を覚えるには、そう時間はかからないだろう。
(由宇くんたちは、処分されるに違いない)
一度暴走したアンドロイドは、欠陥品として、スクラップにされてしまう。
「絶対に、全員で幸せになるんだ」
唇を薄く噛み、こぶしを握りしめる健人は、異様な迫力に満ちていた。
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