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強い決意を固めてはいるが、表面では軽い口調で、健人は由宇と乃亜に持ち掛けた。
必要以上の心配を、彼らに掛けたくなかったのだ。
「由宇くんは、オンラインで繋がってさえいれば、世界中のコンピューターをハッキングできるのかな?」
「世界中、ですか? 端末である僕が、というより、人工衛星のメインブレインなら何とか」
「僕が現在、その弱点を掌握しているコンピュータシステムや、ネットワークなら、侵入して操作できるよ」
サイバーテロ対策として、オフラインになっているコンピューターは、さすがに無理だ。
「でもね、研究はしてたんだ。オフラインコンピューターに近づいて、特殊な電磁波を出して狂わせるシステムを、ね」
「さすが、乃亜さん。その研究の続きは、また後でやろう」
今は、現時点で可能なことを。
できる限りの努力を、前に進むためにやるんだ。
「では、真の自由を勝ち取るための作戦・第二弾!」
健人の本気は、周囲にも充分伝わっている。
皆、真面目に耳を傾けた。
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