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「でもぉ。『電次元』なんてワード使ったら、まずいんじゃないかな?」
「なぜだ? 美咲」
忙しく動く由宇や健人、乃亜や圭吾たちを眺めながら、美咲はつぶやいた。
「世のオタクたちが、犯人扱いされるかもぉ。最悪、ガンデオンの製作スタッフが、捕まっちゃったりして」
「なるほど……」
大輝は、そんな美咲に驚いた。
以前の彼女は、そういったことには、まるで気が回らない人間だったのに。
いや、どちらかと言えば、叩かれるオタクたちを笑いものにするような人種だった。
「美咲、成長したな。惚れなおしたぞ」
「な、何よ! 突然、キモい発言は、やめてよね!」
「美咲の考え、健人さんに伝えて来るよ」
「勝手にすればぁ? あ、ついでに、アイスコーヒーのお代わり、お願い」
赤くなってそっぽを向く美咲に、大輝は軽く笑った。
さらに魅力の増した婚約者を、誇らしく思っていた。
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