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第四十六章 未来は健人に託された
今まさに、第二の計画を実行しようとしていた健人は、大輝の言葉に踏みとどまった。
この計画は、今後みんなが安心安全に暮らしていけるようにするために、不可欠だ。
まずは国内の、主だったコンピュータシステムや、ネットワークをハッキングする。
社会が混乱する中、表では匿名で『電次元からの警告』と声明し、その意図を謎に包んでおく。
そして裏では、特別研究所を脅迫するのだ。
国内のシステム障害を復旧させたければ、乃亜や圭吾、そして由宇、その兄弟アンドロイドたちの安全を保障しろ、と。
しかし、大輝が伝えた美咲の意見に、この計画の欠点を思い知らされたのだ。
『でもぉ。電次元、なんてワード使ったら、まずいんじゃないかな?』
『世のオタクたちが、犯人扱いされるかもぉ。最悪、ガンデオンの製作スタッフが、捕まっちゃったりして』
美咲の目は、客観的に物事を見ていた。
健人は、もう少しで罪のない人たちを追い詰めるところだった、と反省した。
ガンデオンを愛するあまり、つい作戦名に使ってしまったが、これは危険な行為だ。
「確かに、ガンデオン推しの人たちが怪しまれるよなぁ。下手をすれば、魔女狩りだ」
「それに、ハッキングするAIによっては、生活が成り立たなくなる人たちも出てくる」
大輝が、美咲の言葉に補足を加え始めた。
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