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「一つ目。特別研究所から脱出した全員の人権を認め、自由を保障すること」 『藤崎と、乃亜のことか?』 「彼らを手助けした、アンドロイドたちも含みます。もちろん、協力者である私たち二名も」 『機械に人権を認めろ、だと? バカなことを言うな!』 「彼らは、自らの意志で行動する能力を獲得しています。体は機械でも、心を持っています」  電話の向こうからは、せせら笑う声が数名分聞こえていたが、健人は間髪入れずに続けた。 「二つ目。特別研究所は、いっさいの活動を停止すること。その後は有識者らによる第三者委員会を設置し、平和目的でのみの運用を行う」 『ま、待て。少し、待ってくれ』 「待ちません。あなたが、Yesと言ってください」 『私の一存では、決められない。一日、待ってくれ。会議を開いて、話し合いたい』 「7分間だけ、待ちましょう。それまでに決定できなければ、さらに情報をリークします」 『さらに、とは!?』  「もちろん、ラスボスのスキャンダルまで晒す準備は、できているんですよ」  7分後に、また電話します、とだけ伝え、健人は一方的に通話を切った。

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