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7分。
健人が指定した、時間だ。
短いようで、意外に長い。
「あと、2分46秒」
「まだ、7分経たないのか」
しかし、特別研究所の面々は、ひどく短く感じていることだろう。
健人が『ラスボス』と表現した、彼らのさらに上の立場の人間たち。
そのスキャンダルを暴くとの脅迫は、強烈な威力を持っているはずだ。
右往左往する暇は、無い。
すぐに国家中枢の大臣や官僚たちにお伺いを立て、その返答通りに動くことだろう。
(十中八九、こちらの要望を飲むだろうけど、まだ油断はできないな)
健人は、再び腹をくくっていた。
相手がNOと言ったり、逆に条件を付けてきたりした時は、どうするか。
そこまで考え、頭をフル回転させていた。
「7分だ。健人さん、頼みます」
圭吾が、携帯を渡してきた。
由宇が、再び健人の手を握る。
その祈りに応えるように、健人は彼の手を力強く握り返した。
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