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第五十章 ウェディング大作戦

 由宇との結婚を、認めて欲しい。  この、大切な一言を伝えるべく、健人は乃亜をランチに誘った。  ホテル内の、フレンチレストラン。  昨日の夕食が寿司だったから、と気を遣ってのチョイスだ。  ミシュランシェフが腕を振るうコースを堪能し、食後のコーヒーをいただく時に、ようやく切り出した。  明るく、前だけを見て。  理解され、許されると信じて。  健人は乃亜に、大切な言葉を、大切に伝えた。 「私と由宇くんは、深く愛し合っています」 「うん、知ってる」 「永遠を誓い、共に歩んでいく覚悟です」 「うん、解る」 「二人の結婚を認め、祝福してください」 当然、いいよ、と返って来ると思っていた。  健人は、そう確信していた。  しかし乃亜は、短い間を置いただけで、首を横に振ったのだ。 「ごめん。それは、ダメ」 「えっ」 「健人さんと由宇の結婚に、僕は反対する」  健人は、反射的に由宇を見た。  彼から、乃亜への反論があると思ったのだ。 「由宇くん?」 「……」  だが由宇は、軽くうつむき沈黙したままだ。  まるで、乃亜の反対を予測していたかのように。 (昨夜の由宇くんの様子から、これは気づくべきだった……!)  健人は、コーヒーカップを手にし、カラカラに乾いた口を湿らせた。

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