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「泣かないで、由宇くん」
健人は、由宇を慰めた。
抱き寄せた彼の肩が、震えている。
嗚咽が、漏れ始めている。
そんな二人の姿に、乃亜は胸を痛めた。
「どうにかして、ハッピーエンドにしたいけど。こればっかりは、避けられないよ」
「いや、方法はあります」
顔を上げた健人の目は、挑むような光を放っていた。
「乃亜さんの助力は、必要ですが。でも、できるかなぁ。さすがのあなたにも、無理かな?」
「僕に不可能は無いよ!?」
プライドを傷つけられ、乃亜は身を乗り出した。
「まずは、その健人さんの方法とやらを、聞かせてよ!」
健人は、乃亜の隣に掛けている、圭吾に視線を移した。
彼は意見することはなかったが、ただ頷いて見せた。
(さすが、藤崎さん。私の考えは、お見通しだな)
同じアルファとして生まれた、ヒトの子。
思考回路は、健人と似ているのだろう。
彼に、後押ししてもらった気分だ。
健人は、思いきって提案した。
「私を、アンドロイドである由宇くんに、限りなく近づける。できますか?」
「……!」
「健人さん!」
乃亜は息を飲み、由宇は小さな悲鳴を上げた。
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