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第7話
※この回には濃いめの甘い描写(R要素)が含まれます。
苦手な方はご自身のペースでお読みください。
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第7幕 触れない距離、触れる心
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ソファに沈み込んだ体は、まだ震えていた。
隣に座る羽鳥の気配が、部屋の空気を塗り替える。
近い。
けれど触れてはいない。
その距離が、抱きしめられるよりもずっと苦しい。
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「吉野」
低い声が、胸の奥に落ちていく。
耳の裏が熱くなり、指先にまで痺れが走った。
「……俺は、お前のなんなんだ」
二度目の問い。
逃げ場のない真っ直ぐな瞳で。
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喉が詰まる。
それでも、言葉は堰を切ったように零れた。
「……トリは……俺にとって一番大事な存在だ。
ずっと幼馴染で……すぐに恋人だって言えねぇけど……
でも、お前が好きなのは、変わらない」
吐き出した瞬間、胸が軽くなるはずなのに、逆に苦しい。
羽鳥がどう答えるか、それだけで世界が変わってしまう気がして。
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羽鳥の瞳が深く揺れた。
「……お前が俺をどう思っていようが」
「俺は、お前とずっと一緒にいる」
「そう思って……今まで生きてきた」
誓いのような言葉。
心臓を直に掴んでくる。
震える体ごと支配してくる。
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羽鳥の手が、そっと千秋の手に重なった。
ただ触れただけ。
けれど、その熱に千秋の身体は大きく震えた。
「……っ」
抱きしめられるより重い。
口づけよりも濃い。
支配にも似た甘さと怖さが、一度に押し寄せる。
「千秋」
名前を呼ばれただけで、全ての力が抜けていく。
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羽鳥の指が頬をなぞり、顎を持ち上げる。
次の瞬間、唇が重なった。
浅い口づけ。
けれどすぐに深く侵されて、舌を絡め取られる。
「ん……っ、は……っ」
拒む声も、全部吸い込まれる。
胸が熱くて、呼吸が乱れて、頭が真っ白になっていく。
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シャツのボタンが外され、指先が肌を撫でる。
冷たい掌が触れるたびに、そこだけが火傷みたいに熱を帯びる。
「やっ……トリ……!」
「大丈夫だ。……俺がいる」
耳元に低く落とされた囁きが、骨の奥にまで染みていく。
怖いのに、安心してしまう。
その矛盾が、余計に千秋を追い詰める。
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胸を擦られ、腰を抱き寄せられ、逃げられない位置に固定される。
触れるだけで敏感になって、声が洩れる。
「……や、ぁ……! そこは……だめ……っ」
「素直だな。……もっと聞かせろ」
恥ずかしい言葉と共に、体の奥に熱が集まっていく。
涙が滲んで、頬を伝った。
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「……入れるぞ」
耳元で告げられ、体が硬直する。
「ま、待っ……やめ……!」
「千秋。信じろ」
瞳を絡められた瞬間、全ての抵抗が崩れ落ちた。
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熱が押し広げ、奥へ侵入してくる。
強い痛みと、どうしようもない甘さが同時に胸を貫いた。
「っ……あ……ああっ……!」
声が零れ、背を反らす。
羽鳥は髪を撫で、額に口づけ、震える体を優しく宥め続ける。
「力を抜け。……すぐに慣れる」
その声が、最後の砦を溶かした。
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ゆっくりと奥まで満たされ、千秋の体は羽鳥に抱え込まれる。
動き出すたびに世界が揺れ、声が勝手に零れる。
「や……っ、あ……! も、もう……っ」
「千秋。……俺だけを呼べ」
「トリ……っ、トリ……!」
呼ぶたびに熱が深く突き上げ、千秋の意識を溶かしていく。
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限界が近づく。
涙と声と熱が重なり、世界が白く弾けた。
「っ……ああああ……!」
絶頂に飲み込まれ、千秋は羽鳥の腕の中で崩れ落ちる。
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ぐったりと寄りかかった体を、羽鳥が強く抱きしめる。
額に落ちた口づけが、全てを封じるように甘い。
「……千秋」
低く響く声が、耳の奥を震わせる。
その名前を呼ばれるだけで、千秋の胸は再び熱を宿した。
――逃げられない。
けれど、もう離れたくなかった。
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📖 次回予告
千秋と羽鳥の距離が、ついに言葉ではなく身体で確かめられる夜。
けれど夜明けは必ず訪れる――。
🌙 第8幕 夜明けの余白
📅 9月2日(月)21:00 更新予定
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