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第20.5話 誰か、俺に休みをくれえええええ!!―金曜日のアヴィ― ※R描写あり【新規書き下ろし】
俺は酒に強いほうだ。
といっても全く酔わないわけじゃない。ただただ幾らでも呑めて、ひたすら気分が良くなるタイプだ。
タダで酒と飯が食えるんだから断る理由もなく、上司からの飲みの誘いにはいつも二つ返事で付き合っていた。おかげで会社のおじさんたちからはすこぶる好かれていたと思う。
——そしてその体質と現金さは、この異世界に転生してからも何一つ変わっていなかった。
結果、アヴィが用意した高そうな白ワインは、彼に勧められるまま、ほとんど俺一人の胃袋へ収まることになった。
俺は今、酒も回って最高に気分が良かった。
だからトイレに行きたくなって一旦用を済ませた後も、何の躊躇いもなくアヴィのいる部屋に戻ってきたのだ。
さっきと同じ椅子に座ろうとする俺に、座ったままのアヴィが、まるで『こっちにおいで』とでも言うように両手を広げてみせた。
「ご主人様、こっちです」
「うぇ……!?」
「せっかく“恋人”になったんですから、もっと恋人らしくしましょう?」
アヴィが甘えるような猫なで声でそう呟く。
「いや、恋人らしくってなんだよ……。って、膝の上!?」
俺は思わず、アヴィの膝元に視線を落とした。
……太い。太ももの筋肉が発達しすぎていて、白のチノパンがパツパツになっている。
そして視線を上げると、期待に満ちたキラキラな眼差しのアヴィと目が合った。
……きっとここで俺が断ったら、垂れたアヴィのウサ耳がショックで重力に負けて、そのままポロリともげるかもしれん。
「ったく……しょ、しょーがねぇな……」
俺は気恥ずかしさを誤魔化しながら、アヴィに背中を預ける形で膝の上にちょこんと座った。
……すると途端に、頭の上からアヴィが吹き出す声が聞こえた。
「ご主人様、そうじゃないですよ」
「え……?」
振り返る隙すら無かった。
アヴィに脇の下をガバッと力強く抱えられたかと思うと、ふわりと身体が宙に浮く。まるで子供のように軽々と体を持ち上げられ、そのままアヴィと正面から向かい合わせに座らせ直された。
「うおっ……!?」
視界がくるりと回った時には、俺はアヴィの太ももの上に跨がる格好になっていた。
「ア、アヴィ……っ!?」
「はい、なんでしょう?」
……近い。近すぎる。
目の前にはアヴィの分厚い胸板と、少し上から俺を覗き込む、期待に満ちたキラキラした目。
さらには、密着した太もも越しに嫌というほど伝わってくるアヴィのガチガチな筋肉の質感。
(待て待て待て! この体勢、めちゃくちゃはずかしいんですけど!?)
思わず後ずさろうとしたが、腰の後ろに回されたアヴィの太い腕が固い城壁のように退路を断っていた。
「ちょ、近いって……!」
ふと、鼻先にアヴィの長いウサ耳が触れた。
毛の細かいフワっとした感触とともに、煎ったナッツにメープルシロップをかけたような、香ばしく甘い匂いがして、無意識にクンクンと嗅いでしまった。
……ハッと我に返り、慌てて顔を引こうとした時には、もう遅かった。
耳をぴくりと揺らしたアヴィが、うっとりと瞳を細め、さらに腰をギュッと強く引き寄せてくる。
「僕もご主人様の匂い嗅いでいいですか?」
「えっ……あ、おいっ——」
拒否する間すら与えてくれなかった。
アヴィが俺の耳の後ろから首筋にかけて勢いよく鼻を押し当ててくる。深呼吸でもするかのように、スーハーと熱い吐息を入念に吹き付けられ、ゾクゾクとした悪寒のような快感が背筋を駆け抜けた。
(っ〜〜〜、鼻息がかかって……くすぐったいし、熱い……っ!)
「……んっ、は、離せ……って! あ、汗臭いだろ? 今日まだ風呂に入ってねぇんだから」
「……いいえ。ご主人様の匂い……すごく香ばしくて、心が安らぎます」
すり、と首筋に頬を擦り寄せながら、アヴィはまるで熱病に浮かされたように深く息を吸い込んだ。
逃げようと体を身悶えさせるが、腰をガッチリ抱え込まれているせいで、どうしてもアヴィの固い腹筋に自分の下半身が押し付けられてしまう。
「あ、おい! どさくさに紛れて、尻を揉むな……っ!」
「揉んでません。ご主人様にリラックスしてもらうためのマッサージです」
「おんなじじゃねぇか!!」
白々しく真面目な顔で言い張りながら、アヴィの大きな手はむぎゅっと俺のお尻を捏ね回し、そのまま自分の方へとグイグイ引き寄せてくる。
(あ、ヤバイ……。俺のアレが……アヴィの腹筋に擦れて……っ)
俺の焦りを感じ取ったのか、首筋に顔を埋めていたアヴィの視線が、ゆっくりと俺の胸元へと落ちていく。
「……こっちも、僕に確かめさせていただけますか?」
いつの間にか、シャツの裾からするりと忍び込んできたアヴィの大きな手が、俺の腹から胸へと這い上がってきた。
剣ダコのある長くて固い指先が、胸の突起を掠めるように撫でた瞬間、脳裏にガウルとクーに弄られた記憶が強烈に蘇り、身体がビクリと跳ねる。
「あっ、だ、ダメだって……!」
慌てて抗議するも、容赦なく先端を指腹で転がすように捏ね回され、俺は背中を大きくのけぞらせた。
「あ……っ、んあっ!」
「すごくいい反応をしてくださいますが……もしかしてここ、ガウルさんとクーさんにも触ってもらいました?」
くすりと意地悪く微笑むアヴィに、俺は返す言葉がなかった。
(ああ、クソ! これじゃ、あの二人に開発されて感度が上がってんのバレバレじゃねぇか……!)
焦る俺の思考を嘲笑うかのように、アヴィは流れるような自然な動作で俺のシャツを胸の上までたくし上げた。
無防備に露わになったそれに、アヴィは愛おしそうに目を細める。
「可愛いですね。あの人たちに散々愛された痕……僕が上書きしてもいいですか?」
「あ……っ」
返事を待つこともせず、アヴィはぷっくりと膨れ上がった先端を、優しく、けれど逃がさないように軽く歯で挟み込んだ。
カチリと歯牙にかけられたまま、ねっとりとした舌先でコリッと転がされた瞬間、背筋に痺れるような電撃が走った。
「あ、っ……! ダメ、アヴィ……そこっ……!」
逃げようと体を引こうにも、アヴィの太い腕が俺の腰と背中をがっちり抱え込んで離してくれない。
それどころか、頭を俺の胸にぐりぐりと押し付けながら、赤ん坊みたいにしつこく、熱い舌で胸の先端を吸い上げてくる。
「っ、あ、んぅ……っ! あっ、……っ」
「……ご主人様、そんなに僕のお腹に腰を押し付けて、どうしたんですか?」
「ちがっ……! お前が、っ、押さえ付けるから……あぁっ!」
耳元で甘く囁くアヴィの熱い吐息と、胸への容赦ない攻め。
逃げようと背中を弓なりに反らせば反らすほど、胸も下腹部も、よりアヴィの肉体に密着してしまう。
(っ〜〜〜〜! ヤバい、ヤバい……っ!)
胸への過剰な刺激と腹筋との摩擦で頭がトロトロに溶かされ、自分でも抑えが効かない。
股間に集まった熱が限界まで跳ね上がり、直接触れられてもいないのに、ズボンの中にだらしなく溢れた先走りがじわじわと生地を濡らしていた。
「嬉しいです。こんなに感じてくれて……」
「ば、バカっ……! どうすんだよ、着替え持ってきてねぇぞ俺!」
ぐっしょりと濡れた太ももと服の不快感に、思わず視線を落とした時だった。
……俺は、気づいてしまった。
アヴィのそれが、白のチノパン越しからでもはっきりと形がわかるくらい、凶悪なサイズに膨張していることに。
「……ご主人様が押し付けたせいですよ。……責任、取ってくれますか?」
耳元で甘く囁くアヴィの顔は、すっかり『肉食』の笑みを浮かべていた。
「お前のせいだろーー!!」
その時。
——ドンッ!
隣の部屋から、静まり返った室内へ力任せに壁を叩く音が響き渡った。
「ア、アヴィ……もしかして、この部屋の隣って……」
「別の宿泊客がいるようですね」
「やっぱり!?」
(ま、まさか……さっきの音って……っ! 俺の声、隣に丸聞こえだったってことか!?)
カッと顔が熱くなり、血の気が引いていく。
「ヤバイ、恥ずかしすぎて死ぬ……っ!」
「ご主人様のえっちな声も、しっかり届いてしまったかもしれませんね」
「……っ! も、もうアヴィ、離し……あっ」
だがアヴィは離す気などサラサラないようで、俺を軽々と抱えたまま立ち上がると、ふかふかのベッドへ押し倒すように横たえ、逃げられないよう上からドシリと跨ってきた。
そのまま白いシャツを素早く脱ぎ捨てる。
頭上を覆う大きな影と、視界に広がる鍛え抜かれた肉体美に、男の俺ですら一瞬息をのんで見惚れてしまう。
「ここからは、あまり大きな声を出さないようにしないといけませんね」
「こ、ここからはって、まさか——……!」
「当然でしょう? こんな状態のご主人様を僕が放っておくとでも思ってるんですか?」
アヴィの手が俺のウエストに回る。
抵抗する間もなく、下着ごとズボンが一気に引き下ろされ、先走りでぐっしょりと濡れて張り付いていた陰茎が、ポロンと冷たい空気に飛び出した。
「……それに僕も、ご主人様のせいでこうなっちゃいましたし」
「あ……っ」
露わになった俺のソレに、布越しでもわかるアヴィの熱く肥大したアレをピトッと押し付けられ、俺はあまりの熱量と羞恥でどうにかなりそうだった。
「責任、とってくれますよね?」
***
「ん……っ、んん……ッ!」
俺は今、必死に自分のシャツの裾を深く噛み締めていた。
あのあと、アヴィの手と口であっさりイかされ、後ろを入念に解された時にもまたイかされた。
そして今、解されたそこは、深く受け入れたアヴィの圧倒的な質量でぐずぐずに掻き乱され、容赦なく襲い来る快感の波に意識が飛びそうになっていた。
このままでは快感のあまり、アヴィの肩に思い切り噛みついてしまいそうだった。だから代わりに自分の服の生地を奥歯で強く噛み締め、必死に声を殺す。
痺れるような腰の奥の甘さに耐えかね、掴んだシーツをぐしゃぐしゃに握りしめる俺。
だが、目の前のアヴィは恍惚とした、危険すぎる瞳で俺を見下ろしていた。
「……ああ、声を我慢してるご主人様……最高にそそられます」
甘く囁く声とともに、アヴィの腰が容赦なく俺の“いいところ”を穿ってくる。
「んん……っ!」
「……いいですよ。声を出したら隣にバレちゃいますからね? 頑張って耐えてください」
そう言って楽しげに微笑んだアヴィは、声を殺して身悶える俺を慈しむように、甘く激しく暴き尽くす。
だが、涙目になりながら耐えていた俺の唇を、すっと伸びてきたアヴィの太い指が優しく押し開いてきた。
「……でも、どうせ噛むなら、僕の指にしてください」
「ん、ふぇ……っ!?」
突然、口内に滑り込んできた長くて固い指。
口を塞がれて飲み下せない唾液が、口の端からだらりと零れ落ちていく。
下から突き上げる激しい快感に耐えきれなくなった俺は、思わずその指をガツンと力任せに噛み締めてしまった。
「っ……あぁ、ご主人様……すごくイイです……」
痛みが走っているはずなのに、アヴィはうっとりと瞳を湿らせ、歓喜に満ちた表情で俺を見つめてくる。
(こいつ……噛まれて喜んでやがる……っ)
「……ふふ、どっちの口も、僕で塞がっちゃいましたね」
「んぐ……ッ!?」
アヴィの指が、ぬめつく舌をじわりと押し潰し、繊細な歯の裏側を慈しむようにゆっくりとなぞっていく。
(あ……っ、なんか……これ、……っ)
口の中まで容赦なく犯されているような錯覚に、脳が激しい痺れを起こす。
舌を自由に動かせず、溢れ出る唾液を飲み下すこともできないまま、俺は逃げ場のない快感に翻弄されるしかなかった。
「もっと、強く噛んでください……僕で満たされたまま、イってくださいね」
耳元でゾクゾクとした熱い吐息とともに囁かれ、背筋に痺れるような戦慄が走る。
必死で声を殺しているというのに、結合部からは『くちゅ…っ、じち…っ』と、いやらしい水音が静かな部屋に容赦なく響き渡っていた。
(やばい……っ、こんな音まで……隣に……っ!)
焦りと恥ずかしさで俺が指を強く噛み締めるたび、応えるようにアヴィの腰つきはさらに甘く、激しさを増していった。
(もう……、ダメ……だ!! イッ……ちゃう……!!)
その瞬間、閃光が弾けたように視界が真っ白に明滅した。
「————〜〜〜〜ッッ!!」
とめどない快楽の波が全身を激しく駆け巡る。
奥歯でぎゅううっとアヴィの指を力任せに噛み締め、全身を打ち震わせた直後——アヴィもまた耐えきれなくなったように苦悶の表情を浮かべ、俺の奥深くへ熱い精をドクドクと放ち刻んだ。
互いの熱い呼吸だけが室内に響き渡る。
涙と涎でぐちゃぐちゃになった顔を、アヴィはまるで毛繕いでもするかのように、ペロリと舌で丁寧に拭っていく。
「ご主人様……」
甘えるような声音を聞きながら、俺はふと疑問に思った。
金を返す義務も完全になくなった。仲間から恋人へと関係が進んだというのに、アヴィはまだ俺のことを“ご主人様”と呼んでいる。
だから俺は、事後の火照った息を吐き出しながら「ユーマでいいよ」と提案してみた。
けれど——
「これからも、ずっと僕のご主人様でいてください」
そう言って、俺が噛み跡をつけてしまった自らの指で優しく俺の手を取り、うっとりと微笑んだ。
その笑顔の裏に、底知れない狂気にも似た執着が潜んでいるような気がして、ゾクリと背筋が震える。
だが、子供のように幸せそうな顔で俺の手に頬ずりを重ねる彼に、俺はもう何も言えなくなってしまった。
***
そして朝。
自分のアレで汚れてカピカピに乾き、パリパリに固まったズボンと下着を前に、俺は頭を抱えていた。
生地はゴワゴワだし、うっすら生臭い匂いも残っている。これをまた穿くなんて嫌すぎるが、まさか下着なしで出歩くわけにもいかない。
「うう、これを穿くしかねぇのか……」
失意のままベッドの上で正座していると、すでに身支度を整えたアヴィが、俺の前にスッと何かを差し出してきた。
「どうぞご主人様。こちらをお使いください」
「……へ?」
受け取って広げてみると、それは見覚えのない真新しいズボンと下着だった。
「お前、まさかこうなることを見越して準備してたのか!?」
「まさか。万が一、ご主人様が僕の腹筋で気持ちよくなってしまった時のために、念のため用意していただけです」
「ピンポイントすぎるだろ!!」
そして、無理やりねじ込まれたとはいえ、俺が力任せに噛んでしまったアヴィの手の傷跡に少しだけ罪悪感があった俺は、「ヒールで治すよ」と声をかけたのだが、なぜか笑顔で丁重にお断りされてしまった。
無事に帰宅してしばらくしたあと、流し場で洗い物をしていると、クーが「ユーマ、オレの指も噛んで♡」と本気でおねだりしてきたり、ガウルが「……あいつに酷いことされなかったか?」と眉間に深い皺を寄せて真剣に心配してきた。
その時、俺はすべてを察した。
アヴィのやつ、あの傷跡をまるで名誉の勲章か何かのように、ふたりへ見せびらかしていたに違いない。
ガウルとクーに詰め寄られながら振り返ると、アヴィと視線が合った。
玄関横の窓際、小さなティーテーブルで優雅にお茶を傾け、午後ティーを楽しむ貴族のようにニコッと微笑んで見せる彼。
だが、ティーカップを持つアヴィの指には、くっきりと俺の歯型が残っている。
俺はただ呆れて、苦笑するしかなかった。
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