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第2話
「どうも、はじめまして...?二ノ宮雫(にのみや しずく)です。」
「おはよう、二ノ宮くん。坂木譲(さかき ゆずる)です。」
とりあえず落ち着こうと床に散らばった衣服を身に付けた。
二ノ宮と名乗ったその若者は私服ではなくスーツで。
こうして身なりを整えてみると、思いの外しっかりとして見える。
朝食代わりのコーヒーを差し出せば「...ただきます。」と大人しく受けとりズズッと啜った。
「あの、坂木さん。」
「ん?」
「俺、記憶が飛んでて...その、」
「安心しろ。僕も全く覚えていない。」
「チッ、んだよ、役に立たねぇ」
「あ"ぁ?」
「っ、何でもないです!」
生意気な口に睨みをきかせるとすぐに小さくなる。
こんなガキとヤったとか、ほんと昨日の自分を殴りたくなる。
...記憶にはないが。
「とりあえずお互い酔ってたんだし。酒の過ちなんかよくあることだ、さっさと忘れることだな。」
「......」
「なに、何か問題でも?」
男と間違いを犯したなど、この男にとっても不本意だろうと提案した言葉に黙り込む。
そのどこかソワソワした様子に首を傾げれば、おずおずと口を開いた。
「なぁ、その...っち...?」
「何?聞こえない」
ハッキリしない言葉に眉を寄せてしまう。
すると意を決したように顔を上げ、目尻を赤く染めながら二ノ宮くんは大きな声を出した。
「だから、俺があんたを掘ったの?それとも掘られたの!?どっちだよ!」
「!!」
ド直球。
ストレートにも程があるその言葉に思わず赤面してしまう。
「あんたにとっちゃ一夜限りの間違いで、忘れて終わりなのかもしれねぇけどな、俺にとっちゃけっこう重要なんだよ!そこ!!」
またもや指差してくるその様子に呆気に取られていると、続けてとんでもない台詞が飛んできた。
「こっちはな『脱・童貞』がかかってんだかんな!!」
手にしていたコーヒーを溢さなかっただけ、自分を褒めてやりたい。
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