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08 蝶のように舞うね ※R18

「……ごめ、北村さん。ちょっと体勢変えるね」 「えっ……? あっ、ん……あんっ!」 そのまま深く繋がった状態で、俊一が柊の身体をゆっくりと引き寄せる。 そして向かい合うように脚を絡め、膝の上に抱き上げるような格好になる。 自然とお互いの腕が肩や背にまわり、額と額が触れ合うほど近づいた。 いわゆる――対面座位。 繋がったまま体勢を変えたことで、互いの奥がより深く絡まり合った。 ぐっと押し上げられる感覚に、柊は思わず甘い悲鳴をあげてしまう。 「あ、やあっ……っ、深い……んっ」 「んっ、北村さん、ほんま、好き……このまま一緒にイこう、ね……」 「う、嬉し……っあ、ああっ!あ!あぁ!」 柊の返答を待たず、俊一は下からぐっと腰を押し上げた。 深く突き上げられるたび、快感が全身を駆け巡り、柊の身体は思わず仰け反る。 「あっ……ああ……っ」 言葉にならない吐息が唇からこぼれ、金の髪がゆらゆらと宙に揺れる。 それはまるで、甘い熱に酔いしれて舞う蝶のようだった。 「あっ、ああっだめ、ダメ!ぐっ、イク!イグっ……あああっ!」 先に限界を迎えたのは柊だった。内側からせり上がる快感に、ビクビクと大きく痙攣する。 その瞬間、柊の内側がきゅっと締まり、俊一の顔から余裕が消えた。 甘くやわらかな肉が、自分を締めつけるように絡みつき――限界を悟った。 「……っ、やば、そろそろ出そ……っ」 下から何度か突き上げた後、柊の身体を抱き上げ、シーツに押し倒した。 間一髪のところで胎内からずるりと欲望を抜き、柊の真っ白な腹を汚した。 「ひぐっ!……っ、あ、あぁん!……あ、ちゅ、い……」 放たれた欲望の熱さに、柊はとろんとした顔で呆けていた。全身が満たされ、まるで夢の中にいるような気分だった。 「はっ、は……ぁ、北村さん、大丈夫……?」 乱れた呼吸を整えながら、俊一がそっと顔を覗き込んでくる。 その目は優しく、どこまでもまっすぐで――心配そうに揺れていた。 柊はぼんやりと瞬きをしながら、腹の上に流れる白濁に目を落とす。 身体の奥に残る熱と余韻にぼうっとしながら、反射的に指先ですくっていた。 ぬるりとした感触。そのまま、無意識に唇に運んでしまう。 「あっ、ちょ……こら、出しなさい。ペッ、て」 自分は口に含んだくせに柊にされた途端、母親のように吐き出せと注意する姿がなんだか面白い。 「んっ、あまい。ねぇ、今度は、ちゃんと中に出して……っ」 「っ……! ほんま、可愛すぎやろ……っ」 あまりに無防備な姿に、俊一は堪えきれず、喰らいつくように口づけた。 何度も、何度も、深く深く――確かめるように。 窓の外では、雪が静かに降り続いている。 まるで世界が、ふたりだけをそっと閉じ込めてくれたようだった。

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