51 / 52
19-1 ※
さっきよりも涼しく感じる部屋の中で、俺たちは微妙な距離を保ったまま固まっていた。
すると、俺の腕の中から禍々しい漆黒の棒がゴトッと音を立てて床に落ちた。
やけに大きく響いたその音に、俺たちの視線は吸い寄せられた。
「世利、お前……なんだよ、それ」
優成が震える声で聞いてきた。
追い詰められた俺には、もはや逃げ道はなかった。
開き直った俺は、優成を真正面から見つめ返した。
そして、床に落ちたアダルトグッズを拾い上げて答えた。
「えー……こちらが極太ディルドになりまして、こちらがアナルビーズ──」
「商品説明すんな!それは知ってんだよ!」
──それは知ってるんかい
俺は心の中で優成にツッコんだ。
俺は大きく息を吐いて、観念した。
「……これは、本当は最後に見せるつもりだったんだ」
「最後?」
「……うん。さっき、呪いは解けてるって話しただろ?
それさ、優成は証拠なしでも信用してくれる?」
「……いや、どうだろう。ちょっとためらう、かも」
「俺は、世利の体が心配なんだ」
優成の正直な答えに、俺はうんうんと大きく頷いた。
「優成はきっと俺を心配してそう言うと思ってたよ」
──でも、ごめん。俺は……
「俺、呪いが解けてる証拠を優成に見せようと思うんだけど……いい?」
「証拠があるなら見たい。
…………いや、待て。ディルドの話はどこいった?」
優成は真顔のままディルドと俺を交互に見比べている。
さっきまでの緊張感は、どこかへ吹き飛んでしまったみたいだ。
今は、真剣なのにどこか間抜けな空気がじわじわと充満していく。
俺は小さく息を吐き目を閉じた。
そして、何度も見返したAV『ペニバン彼女は俺をメスイキさせたい』を思い起こした。
──俺の努力が報われるときが来たんだ!
俺は抱えていた卑猥な棒たちを床にゴトゴトと音を立てて置き、その場にすくっと立ち上がった。
「優成、俺……気がついたんだ」
そのまま、ゆっくりとズボンのボタンに手をかけて外していく。
ストンと、脱いだズボンが床に落ちた。
「な、何で脱いだ?」
優成は体を強張らせた。
何か恐ろしいものでも見ているような表情で、俺を見上げた。
困惑している優成をよそに、俺は話を続けた。
「呪いがかかっていた時、俺のちんこはレイチェルの想像したもので、勃起はしなかっただろ?」
「そ、そうだったな」
「だから、勃起さえできれば呪いは解けてるって証明になるんだ」
俺は、ためらいもせず長めのシャツの裾を両手で持ち上げ、力強く足を開き、優成の前で仁王立ちになった。
「うあーーっ!!!おまっ……なんっ……?」
優成は座ったまま後ずさるように俺から距離を取った。
しかし、その目はしっかりと俺の下着に向けられていた。
一瞬遅れて、優成は何かに気づいたように目を見開いた。
「あ……そ、その下着は……」
「そうだよ。これ、優成が買ってくれたあの下着」
俺は、あの日優成が買ってくれた『劇物どエロパンティ』を履いている。
フリルだらけの白いパンティは、何も隠す気がないくらいスケスケだ。
おかげで俺のちんこも丸見えになっている。
女性用の下着だからパツパツではあるけど、俺のちんこは慎み深く収まっていた。
「…………」
卑猥な下着で仁王立ちの俺を見て、優成は口を開けたまま固まった。
「お前……そんなもん穿きながら、呪いの代償とか、未来の約束とか言ってたのかよ」
「こんな変態に……俺は涙まで流したのかよ……」
優成は額に手を当てて目を瞑った。
呆れ返って、もはや見るに耐えないといった様子だった。
それでも俺の心は折れなかった。
俺には、どうしても譲れないものがある。
「優成がドン引く気持ちはわかるけど、まずは聞いてくれ。
俺……俺は……」
大きく息を吸う。
「優成とエッチがしたいんだ!!!」
俺はそのままベッドに腰掛けた。
「優成とエッチがしたくて、一生懸命考えたんだ。
とにかく、俺を見ててくれっ!」
「……なんなんだよ、お前のそのやる気」
俺の気迫に負けたのか、優成はゆっくりとこちらに視線を戻した。
優成から目を逸らさず、俺は確認するようにパンティの上から指を滑らせた。
ともだちにシェアしよう!

