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19-2 ※

薄い生地の上を、俺の指先が滑っていく。 布が擦れる音と俺の息遣いだけが、部屋の中にこもっている。 ──優成の目の前で勃起させて、呪いが解けてるって証明するんだ。 気持ちが強くなるのと同時に、体にも余計な力が入ってしまう。 気づけば、右手はどんどん乱暴に動いていた。 すり……すり…… 「あ……あれ……?」 スリスリ……スリスリ、スリスリ…… 「うっ……勃たない……」 なんで……おかしい。 一人で触ったときはちゃんと勃ったのに。 どれだけ擦っても、俺の息子は沈黙を貫いていた。 焦った俺は、パンティからちんこを取り出し、なりふり構わず掴んだ──その時だった。 「おい、世利」 少し呆れたような声が俺の耳に届いた。 俺が顔を上げると、頬杖をついた優成と目があった。 「何そんなに慌ててんだよ」 優成は真っ直ぐ俺を見つめていた。 「だって……」 俺の口から情けない声がこぼれた。 だって、勃たないと優成と触れ合えないんだ。 焦りもするだろ……。 すると優成は小さく息を吐き、ゆっくりと口を開いた。 「じゃあ、俺の言うとおり触ってみて」 「…………え?」 俺は、一瞬自分の耳を疑った。 「優成の……言うとおりに?」 思わず聞き返した。 「うん、できるな?」 少し強くなった語尾に、俺の心臓が跳ねた。 気づけば、小さく首を縦に振っていた。 まさか、優成からこんなことを言われるとは思ってもみなかった。 さっきまであんなに乗り気じゃなかったくせに。 これは、もしや……視姦調教プレイ!? 俺は期待と少しの怖さから、ゴクッと喉を鳴らした。 「じゃあ、まず……」 俺は早鐘を打つ鼓動を抑え、優成の言葉を待った。 「優しく触ってみて」 言われたとおり、ちんこを震えた指先で優しく撫でた。 「……んっ」 小さく鼻から息が漏れた。 「先っぽ、指で撫でて」 優成の低い声に導かれるように、俺は手を動かした。 どこをどう触ればいいのか言葉で教えられて、俺が自分で触っているのに── まるで、優成に触れられているみたいだ。 「世利……」 吐息混じりの優成の声に俺は顔を上げた。 「……っ!」 優成の表情を見た瞬間、息が詰まった。 そこには、熱を孕んだ視線を向ける男が座っていた。 ──俺に欲情してくれてる? そう思った瞬間、冷え切っていたはずの熱が一気に跳ね上がった。 ​「……っ、ゆう、せい……」 「そのまま握って、手止めるな」 「うっ……あ……」 優成の低い声が、俺の腹の奥で響いた。 体がやけに熱い。 いつの間にか、さっきまでの焦りは消えていた。 ​「もっと強く……そう、根元から擦って」 ​指が優成の言葉に従って、迷いなく動く。 俺の様子を、優成は一つも逃すまいと見届けていた。 もはや言葉じゃなく、優成の熱い視線が俺の体を昂ぶらせていた。 火照った体からじわりと汗がにじむ。 確かな熱が、俺の中心に集まっていく。 俺は小さく息を吐いて、握り込んでいるものを確認した。 待ち望んだ確かな重みが手のひらにあった。 ──た、勃ってる……! 実際に光ってるわけじゃないけど、俺にはキラキラと輝いて見えた。 「優成!ほら!俺のちんこ見て!」 嬉しくて、弾んだ声で顔を向けた。 すると突然、視界が急激に暗くなった──と思った瞬間には、優成が目の前まで迫っていた。 ​「ゆうせっ……んんっ!!?」 ​言葉は、重なり合った唇に飲み込まれた。 押し込まれるような強引なキスに、俺の思考は一瞬で弾け飛んだ。 「んんんーーーっ!!!」 抗う暇もなく、俺の体はベッドへと押し倒されていた。 ​「ちゅっ……ん……っ、ゆうっ、んんっ……!」 何度も角度を変えて、抉るように唇を奪われる。 優成の舌が容赦なく口内をかき回し、俺の息すらも奪っていく。 「はっ……世利っ……」 のしかかる体温と耳の奥に響く低い呼吸音が、体の芯を震わせた。 「ゆうせっ……ちょっ……んん……待って……」 「待たない」 優成の瞳が、至近距離でギラリと光った。 ただ、男の欲望が真っ直ぐに俺に向けられていた。 ​「え……!」 俺が何か言う前に、優成の手が俺のちんこに伸びていた。 優成の長い指が、容赦なく俺の形をなぞっていく。 「んっ……ああっ……!」 「世利……お前、まじでふざけんなよ」 「えっ……あぅ……な、なにが?」 「こんなエロい格好して……我慢してる俺の前で、バカみたいに堂々と……」 優成は俺のちんこを掴み、良いところだけを執拗に攻めていった。 「うあっ!そこっ……!」 「覚悟しろよ」 「……んあ……は?!……かくご?」 ​優成は、苛立ちを隠しきれないような低い笑いを漏らした。 そして、俺の質問には答えず、優成はまた深く唇を重ねた。 「っ……あ、ゆうっ……」 わずかな隙間に声を漏らすが、優成は止まらない。 むしろ、その掠れた声に煽られたように、俺の腕をシーツに縫い止めた。 ──じゅぱっ…… しばらくして、唇がゆっくりと離されると、俺を喰らおうとしている男に見下されていた。 「俺の10年分の想い、受け止めろよ」

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