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第59話

シャワーを浴びてさっぱりした。 龍雅さんの使った後だと意識してしまって、はじめはドキドキしたけど、汗を流しはじめるとその気持ち良さにドキドキも顔を沈めていった。 「龍雅さん…」 床に寝転んでいるのかと顔を覗き込むと胸がゆっくりと上下している。 寝てる… 食べ終わった梨の皿やフォークも洗われている。 しなくて良いって言ったのに。 律儀で礼儀正しい人だ。 だけど、疲れている時は甘えてほしい。 時間を見繕ってくれているんだろうなと分かる。 時々、疲れた顔をしているから。 移動距離を考えたら寝ていた方が良いのに、その時間を使って会いに来てくれる。 優しさと自己犠牲は背中合わせだ。 龍雅は…どちらなのだろうか。 好きだという気持ちは日々膨らむばかり。 恋の上が愛だとして、なら、愛の上はなんだろう。 その気持ちを龍雅さんに手渡したい。 ソファの隅に畳まれている、龍雅さん用のタオルケットを腹にかけると電気を消す。 そして、その隣に潜り込んだ。 床で寝て、明日、身体がバキバキになっても構わない。 ただ、龍雅さんの隣で寝たいから。

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