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第21話 矛盾した支配
熱にうなされるように絶頂したあと、息は荒く、涙は止まらなかった。
屈辱と羞恥で胸が潰れそうなのに、体は裏切った。
そのままベッドに倒れ込んで動けなくなった俺を、部長は無言で抱き上げた。
「……や、離して……」
弱い声も無視され、浴室に連れていかれる。
冷たいタイルの上に座らされ、頭上でシャワーがひねられた。
熱めの湯が降り注ぎ、汗と涙を洗い流す。
けれど胸の奥は冷えたままだった。
背後から腕を伸ばされ、身体を抱き寄せられる。
強引に太腿を割って入ってこようとする。
「……っ、やだ……」
抵抗は水音にかき消され、脚を掴まれて逃げ場をなくす。
太腿の間を擦り上げられるたびに、声が漏れた。
「声を我慢するな」
冷たく告げられ、首筋に熱い吐息が触れる。
涙で滲む視界の中、矛盾した温もりに翻弄される。
***
湯を止められ、バスタオルで体を包まれる。
「風邪をひく」
そう言って肩や背中を拭かれる仕草は妙に丁寧で、余計に心が乱れた。
リビングの椅子に座らされると、ドライヤーの音が鳴り響いた。
「……やめろ、自分で……」
「黙れ」
短い一言で遮られ、抗う気力を失う。
温風が髪を撫で、指が頭皮を梳いていく。
優しいわけじゃない。乱暴でもない。
ただ無言で乾かされるその時間が、なぜか胸に突き刺さった。
(怒ってるはずなのに……どうして……)
頬を伝う水滴を指で拭われる。
「俺の前以外で、そんな顔をするな」
冷たい声と矛盾する手つきに、胸の奥がぐちゃぐちゃになる。
***
ベッドに戻され、毛布を掛けられる。
背を向けた瞬間、後ろから強い腕が回され、逃げ場を塞がれた。
胸板の熱が背中に押し付けられ、耳元で一定の呼吸が続く。
(……こんなの、どうして抗えるんだよ)
涙の跡が乾く頃には、まぶたが重くなっていた。
背中越しに抱きしめられながら眠るなんて屈辱だ。
そう思いながらも、気づけば深い眠りに落ちていた。
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