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断罪(だんざい)
※性描写を含みます。苦手な方はご注意下さい。
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匠を見送り個室へと戻ってきた直斗。さっきまで横になっていた幼馴染の温もりが、まだフラットシートに残っていた。何となく自分もそこに寝そべってみる。頬擦りをしたり、匂いを嗅いでみたり。微かにシャンプーの香りがするような、そんな気がした。
「はぁ……何やってんだ俺。ちょっとキモ過ぎ?いや、ちょっとどころじゃねーか……」
うつ伏せのまま独り言。さっきまで隣に居た匠の存在が何度も頭をよぎる。茶色の髪の柔らかさ、自分より少しだけ小柄な身体、泣き、笑い、そして自分の前で見せた無防備な寝顔。その全部が、もうただの幼馴染としては見れなかった。
(冷静に考えて、俺って絶対脈ナシだよな。あいつ、俺の事ただの幼なじみとしか思ってねーだろうし、彼女持ちだし。つうかそもそも、俺もあいつも男だし!……でも、好きなんだよ……昔から、ずっと……)
パソコンのモニターの電源を切り、部屋の電気も消す。直斗は仰向けになり顔を覆って深く息を吐いた。真っ暗な一人きりの狭い個室。何かを発散するように、ズボンのチャックを下ろす。それは苦しいほど静かな、慰めの儀式。
「……匠……ごめんな。俺もう、お前の事……エロい目でしか見れねーわ……」
暗闇の中で、ひたすら幼馴染のあられもない姿を想像し、息を荒げながら右手を動かした。
匠の背がベッドに沈む。柔らかなマットの弾力と遙の腕が逃げ道を塞ぐ。顔を上げると銀髪を揺らしながら覆い被さってきた。静かな怒りを湛えた青灰の瞳が、真っ直ぐに此方を射抜く。
「最後にもう一度だけ聞いてやる。……何があった」
低く抑えた声だが、確実に怒りに満ちた音が耳に落ちる。
「俺も鬼ではない。今、話してくれたら許してやっても良いぞ……」
「さ、さっき言った通りだよ……本当だよ……」
声は震え視線を彷徨わせる。遙はその表情を訝しんで眺める。
「……そうか」
肩で呼吸を繰り返し、やっぱり本当の事は言えない……と心の中で呟く。遙は、そんな反応に溜め息をつき、指先で匠の顎を強く持ち上げた。
「もう良い。聞いた俺が馬鹿だった」
「っ……!」
「跪け……」
そう言って起き上がると匠の腕を強く引っ張った。小さく声を詰まらせ潤んだ琥珀の目で見つめてくるも、やがて全身を震わせながら諦めたように恐る恐る遙の目の前に座る。
「後は何をすれば良いか、言わんでも分かるな?」
慈悲の無い冷酷な命令。匠は首を振って否定の意思を見せるが、鋭い青灰色の瞳がそれを許さない。その視線に観念したのか、拙い手つきで黒のスラックスのチャックを下げ、既に昂った熱に口付ける。
「っ……ん、ん……」
最初は躊躇いつつも、この状況を覆す事は出来ないと察した匠は、力無く口を開き大きな陰茎を咥えた。唇が震え、舌が遙の熱を絡め取り、呼吸がどんどん難しくなる。
「……やる気あるのか。もっと奥まで咥えろ」
低音の囁きに戦慄を覚えながら、匠は苦しげに喉を鳴らして従う。
「言われる前にやれ……」
熱いカウパー液が喉に絡み、くぐもった声がこもる。頬は紅潮し、耳まで赤く染まっていく。
「……んんっ……ふ……っ」
肩が小さく揺れ、指が遙の脚をキュッと掴む。
「……全然駄目だな。もう良い、次は上に乗れ」
「っ、ふぁ……」
「上が無理なら、せめて下の口で俺を満足させてみろ」
匠の目が見開き頬が更に赤くなる。しかし、その青灰の瞳には絶対に許さない、とでもいうような眼光が宿っている。下だけを脱ぎ、震える脚で跨がり腰を沈めた。
「あ……あぁ……っ」
硬く反り立つ熱が体内を突き破る快感に、喉奥から甘い声が勝手に漏れてしまう。
「……早く動け」
低く冷たい命令。匠の手が遙の肩に置かれ、のろのろと上下に動き始めた。汗がこめかみを伝い、背中を小さく波打たせる。
「あっ、や、やだ……っ……みないで……」
「見るに決まっているだろう。無駄口を叩いてる暇があったら、さっさと腰を振れ」
遙の大きな手が腰を支え、奥深く押し込む。
「やっ、あっ……!ん……あぁ……っ!」
下腹部が甘く疼き、視界は白く霞む。
「お前が悦んでいる場合か?……俺を悦ばせるのが先だろう」
「やぁっ……っ、ひぅ……だめぇ!」
「自分の立場を理解していないのか……」
冷たく吐き捨てられても、涙でぐしゃぐしゃの顔でゆっくりと動き続ける。
「もっと激しく動いてみせろ。そんな温い動きでは一生終わらない」
遙の低い声と匠の高い嬌声が、卑猥な水音と混じって暗い部屋に響く。
「あっ……あ、あぁん……っ」
腰を震わせながら、さっきよりも少し早く動かす。額から流れる汗が頬を伝い、涙と一緒に滴る。オレンジ色のパーカーに染みが増えていく。
「ふふ……そうだ。だが、もっとだ」
遙の手が腰を支え、深く沈ませると匠の背中が跳ね、甘い悲鳴が零れる。
「やあぁっ!だめっ……ふかいの……むり……っ」
「無理でも何でも良い。ただ動かすだけでは駄目だ、もっと締め付けろ……」
言葉が熱を孕んで耳をくすぐる。長い指が匠の骨盤を掴み、そのまま上下に動かされた。
「っ、あっ……ん、やぁ……っ!」
あまりの快感に思わず腰の動きが途切れる。
「……勝手に止めるな、俺がいつ許可した……」
命令と同時に遙の腰が僅かに奥を貫く。匠の身体が震え、喉から叫びが漏れる。
「やだぁ……や、ぁ……だめ……っ」
「終わらせたく無いのか?……まぁ、それも良いだろう」
遙の手が胸元に伸び、パーカーの中で乳首を捏ねくり回す。全身が敏感になっている匠は、それだけでビクビクと感じてしまう。
「だが早く終わらせたいのなら、もっと気合を入れて動いてくれんとな……」
「っ、ん……んあぁっ……!」
涙と涎でベトベトの顔。それでも構わず匠は必死に腰を動かした。肌と肌が打ち合うたび、濡れた音が部屋中に鳴り響く。
「その可愛い顔と、情けなく腰を振る姿が堪らない……」
青灰色の瞳は細められ、やっと嬉しそうに笑顔を見せた。
「あ、あ……んあ……っ、もう、むり……」
「……駄目だ。俺が射精するまで続けろ」
乳首を弄っていた指に力が入り、強く抓られる。その刺激に匠の目が潤み、再び動きを速めた。
「い……ぁ……っ、やだ……!」
「……良い子だ」
低声と共に軽く中を突く。匠の身体が跳ね、指先は広い肩を思い切り掴む。
「んあ、あっ……や……もう……っ」
「……どうした」
更に突き上げ、最奥を抉ると匠は首を激しく振ってみせた。涎と汗と涙が飛び散る。
「もうだめっ……おねがい……っ!」
「何が駄目で、何のお願いだ。お前の都合など知らん。いいから奉仕しろ」
泣きじゃくりながら必死に動く匠。遙の手が腰を支え、更に深く押し込むたびに悲鳴が上がる。
「やっ……いや……もう、でる……でちゃうっ……!」
「どうしようもない奴だな……勝手にイったら、更に仕置きを追加だ……」
そう言いながらも、遙は腰を強く突き上げた。匠はあっさりと全身を痙攣させ絶頂を迎える。
「んっ……あっ……あああぁ……っ!!!!」
腰が崩れ、力が抜け、広い胸板に倒れ込む。遙は妖しく微笑みながら茶色の柔らかい髪を優しく撫でる。
「……余程、仕置きされたいらしいな」
「やっ……だ……やだ……いやぁ……」
ぐしゃぐしゃに濡れた顔で小さく呟く。遙は口角を上げて、汗塗れの額に口付けた。
「……喜べ、お望み通りに次の罰だ」
遙の囁きは低く、甘く、そして何処までも冷酷。
「やぁ……っ、も……ゆるして……」
上目遣いで必死になって懇願する姿。遙の加虐心は止まらない。まだ膨張したままの自身を引き抜き、匠の身体を軽々と仰向けにさせた。
「……脚を開け。自分で持って支えろ」
「や、やだ……」
「……今のお前に拒否権があるのか」
その声と同時に、細い脚が震えながらも大きく開かれる。
「最初から素直に言う事を聞け。面倒を掛けるな……」
遙は目を細め、匠の上に重なると開かれた中心へ静かに手を伸ばす。
「……此処は、こんなに素直なのに」
「……っ、あっ……や……っ……そこ……」
ゆっくり、ねっとりと長い指が濡れた直腸内を撫でる。匠の身体は跳ね、指先が自分の脚に食い込む。
「……勝手に閉じるなよ」
「あっ……っ、やらぁ……っ」
匠の脚はプルプルと震え、支える力が何度も途切れそうになる。
「少しでも閉じたら、分かっているな」
遙の声が耳元に落ちるたび、胸が激しく上下する。
「や……っ……むりっ……!」
「ふふ……今日はお前の泣き言は一切聞かん」
指が更に奥へ、ぐっと押し込まれる。
「あ……あぁ……っ……いや……」
喉奥から漏れる声が高く震え、瞳が涙で溢れる。
「実に良い声だ……もっと鳴け」
もう一本、指を加え内壁をなぞり敏感な部分を容赦無く擦る。
「ひぁっ!やっ!だ、だめ……だめぇ……っ!」
「……おい。俺は閉じるな、と言った筈だ」
「も、もうやめて……や、やなのぉ……っ!」
「煩い。鳴くか、善がるか、どっちかにしろ」
ぐちゅっ、ぐちゅっといやらしい音が匠の羞恥心を更に煽る。思わず目を固く閉じ顔を背けた。
「逸らすな」
遙の手が顎を取り、向きを無理やり戻される。
「表情が見えないと俺がつまらないだろう。情けなく感じている顔を、しっかり見せろ」
「いや、ぁ……っ、あぁっ!」
何度も波が襲い、身体は反り返る。
「もうだめ……っ……また、きちゃう……っ」
「お前ばかり絶頂して、良い気なものだな……」
グリグリと奥を擦られ、全身がビクンと跳ねる。
「……俺の指が、そんなに気持ち良いか」
「っ、いい……きもちいっ……!」
「ほう……素直だな」
再び指が螺旋を描くように動き、射精感が一気に押し寄せる。
「やあぁっ……らめ……らめぇ……!」
呂律が回らなくなり、脚を支えていた腕の力が緩み出す。股関節も段々と辛くなってきた。
「閉じるなと言っている……」
「ひぅっ……あっ……う……うぅ……っ」
匠は泣き喚きながら震える脚をどうにか開いたまま支える。もう抗う力は無く、琥珀の目から光が消えた。遙は口元に薄い笑みを浮かべ更に深く、執拗に指を抜き差しする。
「ははっ……無様だな……」
低い笑い声が、匠の理性を溶かし尽くす。
「……そうだ」
涙と熱でぼやけた視界の中、耳元に微かに届く追い打ちのような低声。
「例の幼馴染の事だが……」
ゆっくりと指を抜く。しかし安堵する間もなく遙は匠の脚を更に強引に開かせ、濡れそぼった秘部をじっと見つめる。
「……そいつに触らせてはいないな?」
「は……ぁ……っ」
「ふふ……聞いた所でお前は嘘をつくからな。身体に聞いてみる事にしよう……」
その視線は鋭く、獲物を捕えるように細められている。
「さ、さわられてない……ほんとうにっ!」
震える声で必死に答えるも、遙は首を傾げてみせた。
「……今の俺が信用すると思うか?」
囁いた後、遙の指が再度侵入してくる。
「……っ、や……さわられてないっ……さわらせてないのにぃ……っ……やぁ……んっ」
「お前の反応を見て判断する」
「んひぃっ……あんっ……や、もういやぁ……!」
中を抉り、わざと音が響くように指を動かす。ドロドロに溶けたそこは、何をしても音が鳴る。
「……柔らかいな。何度も俺を受け入れているから当然か」
口元を僅かに上げて、匠の最奥を何度も何度も弄ぶ。
「それにしても濡れ過ぎだな。その幼馴染に触らせて、感度が上がっているのではないか?」
「っ、ちがう!……そんなこと……あぁっ、や……ちがうぅ……っ!」
「どうだか。……信用ならんな。お前も、そいつも」
指で深く突き上げるたびに、匠の喉からは悲痛な声が溢れ出る。
「いや……っ……ちがう、ちがうのぉ……っ!」
隅々まで探るように、遙の指は執拗に動く。匠の身体が震え、脚の力が抜けた。
「馬鹿が。閉じるな、と……何度言えば分かる」
「もう……む、り……っ」
「無理でもやれ」
更に強く、奥を擦られる。
「……あ、あっ……!や……もういやだ……たすけてぇ……」
「幼馴染に助けを求めるか、面白いな。本当に助けに来てくれたら、お前は此処を使ってお礼でもするのか?……もっと締めてみろ」
遙の命令に応えるように、中がギュッと収縮する。
「んあぁ……っ……らめぇ……」
「残念だが……此処は俺だけの場所だ。何人たりとも、此処を犯す事は許可しない。もしそんな奴が居たら……殺す」
低音の声が冷たく、匠の背筋を凍らせる。
「指だけで満足か?……そんな筈は無いな?」
「っ、もう……やっ!ゆるして、ゆるしてぇ……っ!!」
「……駄目だ、絶対に許さん」
指は止まらない。深く、速く、匠の身体と精神をも追い詰めるよう。
「お前は俺だけのものだ。身内だろうが何だろうが、例外は無い」
「ひ……っ、あ……あぁ……っ……!」
「俺は、特別だ。……お前を独り占め出来るのは俺だけだ」
狂った執着が指先と声に滲む。匠の涙と喘ぎ、汗と唾液が絡み合い、今この部屋は脱出不可能な監獄。
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