16 / 21

懲罰(ちょうばつ)

※性描写を含みます。苦手な方はご注意ください。 ────── 「もう充分過ぎるくらい解れたな。……仕方ない、幼馴染に触らせていない、そこだけは信用してやる」 遙の声が低く、耳の奥で甘く響いた。 「はっ……は……っ」 息も絶え絶えの匠。脚は痺れ、大腿に爪が沈むほど食い込んでいる。遙は指をゆっくり引き抜くと、そのまま匠の脚を大きく開く。 「……よく見ろ。お前の中に挿入出来るのは、俺だけだ」 「あっ……や、やぁ……っ」 「また嘘をついたな。本当は欲しくて欲しくて堪らない筈だ……」 腰をぐっと寄せ、解れきったドロドロの秘部に熱暴走寸前の自身を当てがう。匠が無意識に腰を揺らし、先端が蜜塗れになった。遙は喉を鳴らした後、一切躊躇せず一気に押し込む。 「……っ、あ゛っ!あ゛ぁあ゛っ!!」 雷が脳天を貫くような衝撃。背中が大きく跳ね、意識は霞む。 「ひぐ……っ、ふ、ふか、い゛……っ!」 「そんなに悦いか……」 遙は低い声で囁きながら、自身を締め付ける内側からの刺激を味わっている。根元までみっちりと、奥の奥まで満たされ、とてつもない圧迫感に匠は苦しそうな顔をした。 「かひゅ……っ……く、くるし……い゛や……しんじゃう゛……っ」 「うっかり全部入ってしまったな。では次は、うっかり激しく動かしてやろう……」 宣言通り容赦の無い動き。直腸を擦るたびに匠の喉から悲鳴が溢れる。 「あ゛っ……だめ……うごかさないでぇ……っ、ぅぁ゛っ……」 「此処は俺だけが侵入を許された場所だ……」 遙の手が匠の下腹部を摩りながら、腰を無遠慮に動かす。 「ん゛っ……ぁ、もぉ……や゛だぁ……っ」 「……嫌?それはこっちの台詞だ。恋人には勝手に出て行かれ、幼馴染の男と密会され、嘘をつかれて。もう……辟易だ」 「……やっ、ん゛ん゛……ッ、も……やめ゛……っ!」 「挙句の果てに、仕置きを食らって善がる。……本当にどうしようも無い」 言葉を吐き捨てた後、長い指で匠の乳首を捻り、更に奥深く突き上げる。 「や……っ、あ゛ッ……ちが……っん゛ぅ……っ」 「反省の色がまるで見えん。これでは仕置きでは無く、褒美だ……」 匠は泣き叫ぶ。涙と唾液がシーツを濡らし、脳は既に蕩け切っている。 「い゛や……っ、やめ……てっ、もう……ぅあ゛……っ!」 「嫌だ、止めろ……いい加減にしろ、聞き飽きた。他に色気のある言葉の一つや二つ言えないのか」 遙の腰が、鈍い水音と共に早く、深く打ち込まれる。 「っぅ……や、っ……あ゛っ……やだぁ……ひぐっ、ん゛……っ」 「もう言葉が理解出来ないか……」 「あ゛っ……あ、やっ……ん゛んっ……っ、ああ゛……っ!!」 「……壊れてしまったのか。……最高だ」 何度も何度も突き上げられ、濡れた音が互いの聴覚を犯す。 「……っ、あ゛あっ……!ぅ゛……っ、もう……だめっ!!」 「分かった分かった。もう好きにしろ。俺も好きにさせて貰う」 匠の背中が反り返り、限界まで開かされた脚をガクガクと震わす。もう自分で支える事を止め、ただひたすらに快感の波に溺れている。 「……お前は、俺のものだ」 遙の熱が奥に満ち、嬌声が途切れがちに何度も漏れる。 「あ゛……あっ、ぁ゛……!」 「しかし、そんなに悦んでくれると責め甲斐がある」 「っあ……あ゛……んっ……す……き……ぃ……」 「ふふ……良い声だ。もっと聞かせろ」 執拗な動きと言葉責めが、匠の思考を甘く溶かしていく。 「ん……っ、ん゛……んっ……ぁ゛……っ、い……く゛……で、るっ……ぅ゛ぁあっ」 何度も何度も突き上げられた身体が痙攣し、勢いよく迸る精液。それは匠の体内にも大量に注がれた。 「……また勝手に射精したのか。何処までお前は悪い子なんだ」 「はるかっ……おねがい、も゛う……ッ、やめて……っ……たすけ……て……っ」 激しい行為が一段落ついた。部屋にはまだ湿った空気が漂っている。遙は額に張り付いた汗を払い、無言で立ち上がりキッチンへ向かう。冷蔵庫に入っていたミネラルウォーターのペットボトルを掴むと、喉を鳴らしながら飲む。 「……っ、く……はぅ……」 匠は崩れ落ちたまま荒い呼吸を繰り返していた。身体は震え、目は涙で潤っている。そんな琥珀の目の視線は密かに水を追っていた。遙はそれを見逃さない。 「……水が欲しいか」 「……っ、ぁ……っ」 「口移しでなら飲ませてやる」 声にならない微かな呻きと、小さく開いた唇。遙は薄く笑みを浮かべると、もう一口、水を含む。そして、匠の顔を掴み取った。 「ゃ……っ……」 か細い拒否の声。しかし、その表情には期待が混じっていた。顔を近づけ、口に含んだ冷たい水を少しずつ匠の口内へと注ぎ込む。 「んっ……」 冷たい水が舌に触れた瞬間、喉の奥を鳴らし、震わせながら必死に飲み込んだ。 「……もっと欲しいだろう」 再び遙は水を含み、唇を深く押し当てる。舌が触れ合うと水が混ざり、温度が変わっていく。 「んん……っ……!」 匠の頬に手を添え、遙が深く口を塞ぐ。水が喉を滑り落ちるたびに息が漏れ、胸が小さく上下する。冷たい水は熱い接吻の中に溶けた。 「……美味いか」 低音の問いに、匠は必死に頷き最後の一滴まで受け入れる。口移しの給水を何度か繰り返し、唇を離すと匠の唇から透明な水が一筋流れる。その雫を舌で拭い、そのまま飲み込むと遙は満足そうに微笑んだ。 「……良い子だ」 狂気を帯び、愛情に満ちた優しい声。匠は震える身体で、ただ呆然と遙を見つめる。 「……匠」 遙の動きが一瞬だけ止まる。途端に青灰色の瞳は鋭く光り、底無しの熱情が潜んでいた。 「絶対に有り得ないが……」 淡々とした低音の呟き。 「……もし、万が一」 遙の指が匠の頬をそっと撫でる。しかし、その優しさの裏に隠れる異常さに琥珀色の目が揺れる。もう嫌な予感しかしない。 「お前が他の誰かに犯されてしまったら……」 「や、やだ……」 「その時お前は……俺以外の奴にも、そんな声を出すのか?」 「っ……!?」 「俺以外でも、感じるのか?」 頬を滑っていた指先が顎を掴み、無理やり視線を絡める。 「そいつは惨殺するしかないが……反応するお前にも問題があるな……」 震える唇からは言葉が出ない。遙は瞳を細め、冷たい微笑を浮かべる。 「……特訓するか……」 「な、なに……なんで……?」 「俺以外では絶対に感じないよう。他の何も受け付けないよう。全部、俺専用に仕上げる。……どうだ、名案だろう」 再度、熱を体内へ押し込み始めた。その一撃が深過ぎて、匠の背中が仰け反る。 「あ、あぁ……っ……もう……やだぁ……」 「此処に侵入して良いのは誰だ?」 「あっ……は……っ、はるかぁ……」 「……もっと大きな声で」 「っ、はるか……はるか……だけっ……!」 「無論だ……」 欲をぶつけるように、強く突き上げられる。 「ひぎっ、あ……っ……やあぁっ!」 「他の奴なんぞに、絶対に渡さん……」 「……っ、うぁっ……だめ……しぬ……しんじゃうぅ……」 「声も、身体も、心も何もかも全て、俺だけのものだ……」 汗と涙が肌の上で絡み、脚は力無く震える。 「お前は俺だけで感じろ」 執拗に、深く抉る。 「もうだめぇ……あっ……いやぁ……」 「……お前は誰のものだ?」 「はっ……はるか……っ」 「……聞こえない」 「はるかぁ……おれは……はるかだけの……もの……っ!!」 「当然だな……」 低声が甘く、狂気を孕んで響く。 「あっ……ん……っ、いや……だっ」 終わりの見えない支配的な行為に、匠の意識は朦朧としてきた。 「これはお前の為の特訓だ。少し趣向を変える」 遙の声が静かに、冷気を帯びる。 「……声を一切出すな」 「はっ……っ、え……」 琥珀の目が大きく見開かれていく。 「……決して感じるな」 「そ、そんな……っ、むり……」 「……出来るな?」 遙の指が顎を取り視線が交わる。その瞳には有無を言わせない、反論など認めない、とでも言わんばかりの圧が込められていた。 「む、り……っ」 「やる前から無理だと決めつけるな。……いいからやれ」 その低い声音に匠の身体はビクッと震え、小さく首を縦に振るしかなかった。遙は満足そうに口角を上げ、ゆっくりと腰を動かし始める。最初は浅く、徐々に深く。 「っ……!」 喉奥で震える音が微かに漏れかけ、匠は手で口を覆った。遙が冷たい眼差しで見つめたまま動きを続ける。 「……どうした」 「っ……!!」 「その手を退かせ」 「っ、んんっ……」 呼吸が浅く乱れ、肩が上下する。覆っていた手はシーツを掴み、唇を噛んだ。ほくそ笑む遙の動きが更に深くなり、敏感な部分を容赦無く突いてくる。 「……堪えろ」 「っ、っ……!」 唇を噛み締め声を殺す匠。しかし、内側は既に熱く溶け、締め付けが増していくばかり。 「……締めるな」 「……っ……!」 膝が笑い、脚が開ききった状態で硬直。 「お前、まさか感じているのか……」 わざとゆっくりと、しかし角度を変えて突き上げる。 「ぅっ、んっ……!」 白いシーツに涙が落ちる。 「声を出すなと言った筈だが?」 遙は僅かに笑みを浮かべ、鋭く熱を押し込む。 「っ……ぁっ……!」 声が零れそうになるたびに腰の動きは、より執拗に、激しくなる。 「……我慢しろ」 「ぁ……っ」 「お前が何処まで耐えられるか……見ものだな」 「っ、ひぅ……っ!」 意識が遠のきそうな快楽。全身は痺れ、涙がシーツに次々と染みを作る。 「……だから最初に言っただろう?後悔すると。お前が早く言えば、こんな事にはならなかった。……全部お前が悪い」 「ゃ……ゃぁ……っ」 声を必死に堪える匠だが、逃れられない絶望と快感の渦に飲み込まれ、もう限界だった。 「っ、ぅあ゛……っ!」 唇を噛み、何度息を詰めても、抑えきれない声が零れてしまう。 「……そうか」 遙の声が静かに、底知れない冷たさを含んで低く響いた。 「どうやらお前は俺以外でも、そうやって声を出す様だな……」 「……っ、ち、がう……」 首を弱々しく横に振る。涙で滲んだ目で、必死に否定の意思を伝えようとした。 「……なら、何故我慢出来ない?」 青灰の瞳が、再度鋭く細められた。 「……また嘘か」 匠の顎を掴み、視線を絡め取ったまま囁く。 「違うと言うのなら、証明してみろ。……今から少しでも声を出したり、お前が感じていると判断した時点で……」 「っ……!」 「特訓は最初からやり直しだ。嘘吐きに慈悲などくれてやる必要は無い」 恐怖と困惑が入り混じった琥珀色の目が、大きく見開かれる。 「……分かったか」 「……や……やだ……」 「一回は否定せんと死ぬ病気なのか?……黙って言う事を聞け」 強制の声に、匠は喉を震わせ小さく頷いた。 「これ以上、俺を怒らせるな」 遙は冷たい笑みを浮かべると抜き差しを繰り返す。その動きは先程までとは比べ物にならないくらい遅い。しかし的確に弱い場所を抉る。 「っ、ん゛……んんっ……!」 喉の奥で小さな声が漏れそうになり、匠の手がシーツを思い切り掴む。 「何か言ったか?」 「っ……っ……!!」 角度を微妙に変え、敏感な箇所を擦り上げる。 「ふむ、また随分と締め付けてくるな……」 「ぅあ゛……っ」 声を殺す為に本気で唇を噛んだせいで血が滲んだ。腰は勝手に動きそうになる。 「何時間でも付き合う。精々頑張ってくれ」 「あ、ぁ……っ、や゛……だ……」 深く、そしてゆっくりとした動きを尚も続ける。わざと焦らすように、だが確実に快楽を与えていく。 「もう声を出したな。次に出すのは精液か?」 「ひあ゛……っ……も、もう゛……や゛め゛で……っ」 匠の全身がガクガクと揺れる。だらしなく舌を出し、ほぼ白目を向いて、口元は涎塗れ。 「……可愛い。とても愛おしいな……その表情。俺だけが見れる顔だ……」 遙は至近距離で見つめ、恍惚としていた。 「……っん゛、や……っ、も゛う……っ、むり、ぃ……っ」 「お前が完全に俺でしか感じないようになるまでは終わらない。さて……また最初からやり直しか……」 更に深く、更に鋭く。際限なく続く行為。 「あ゛っ、ひぐっ、ぅぅ゛……や、やだ……やだよぉ……っ」 喉から悲痛な声が出るたびに、青灰色の瞳が細まる。 「何回リセットすれば気が済むんだ?お前は……」 「や、や゛めっ……てっ……ぅ゛ぅぅ゛っ……!」 「……駄目だ。絶対に止めない」 絶望と悦楽に溶け、匠の意識はもう限界を超えて崩れ落ちた。理性も羞恥心も、すっかり消えてしまった。抵抗する気力も無くなり、ただ身体を痙攣させるだけ。 「お前は強姦されても感じてしまう……そうなんだな」 「も゛……っ、やめてってばぁ……っ……ぅあ゛ぁっ……」 角度を変えて奥を抉るたびに、匠の喉から苦しげな声が溢れる。 「こ゛わいっ……っ、やだ……こ゛んなのっ……ぅぐ゛っ」 「もう特訓する気が無くなってしまったか。全く……その声……他の誰にも聞かせるなよ」 「う゛ぅっ……ひっ……うえ゛ぇ゛っ……やだよぉ……」 「ふふ……俺だけに聞かせろ」 大きな手が腰をがっちりと支え、逃さない。 「こ……こわれる゛っ……や゛だ……っ……おねがい……」 喉奥から漏れる声はもう止められなかった。何度も絶頂を繰り返す身体は、既に自分の意思を失い反射的に遙を求める。絶望の中でも敏感に反応し、涙と唾液が皮膚を伝い視界は真っ白。 「……あ゛っ……や……やぁ……っ、むり……っ……あ……っ゛……」 「お前の中は、俺だけを欲しがっている。そうだな?」 「や゛だ゛っ……う゛……っ……ぅあ゛っ……!」 「返事が聞こえない……もっと徹底的に教えてやらんとな」 鋭く突き上げられるたびに飛び出す壊れた声。 「あ゛っ、ぅ゛ぅ……も、や゛め……も、むり゛っ……!」 「……お前は嘘吐きだ。俺は、お前に嘘など吐いた事は無いというのに……」 「やっ……あ゛っ……ひ゛っ……や、やだ……ぁあ゛っ……!」 遙の言葉が終わると、更に深い絶頂の波が襲い掛かる。 「しかし、すっかり堕ちてしまった様だ。美しいな……」 「ぁ……や……ん゛ぁっ……ん゛っ……い゛……くぅ゛……っ!!」 何度目か分からない射精。最初より飛距離は衰えたが、それでも自分の胸や腹、服へと白濁液がかかった。匠の意識は飛び、目は蕩けて虚ろに揺れる。 「……完全に壊れたな。素晴らしいぞ、匠」 「ん゛っ……ぅ゛ぅう……ぁぅっ、ぃや゛……」 「これでもう、俺以外とセックスは無理だな。俺以外では感じないし絶頂もしない。……そう願いたい」 「あ゛ん゛っ、あ゛っ、あっ、あ゛ぁ゛ぁっ……」 遙は最後に強く、深く、全てを貫くように突き上げた。匠の直腸の中はじんわりと熱くなる。その白い熱源は、すぐに漏れ出てきた。そして、再び始まる律動。 「や゛、だ゛め゛……っ、や゛ぁ゛っ……はる゛かっ、あっ、ああ゛っ……!!」 壊れた声、震える肢体、蕩けた目。快楽地獄に完全に堕ち、声を止められず、感度を狂わされ、理性を根こそぎ奪われる。 「……これが、お前の望んだ結末だ」 低い囁きが、崩壊した匠に止めを刺した。

ともだちにシェアしよう!