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でも俺は晶の匂いはわからないから、行動で晶が浮気しているか見極めないといけない。それは、アルファやオメガの浮気を判明させるより難しい気がする。彼らなら、相手についた匂いでどこでなにをしてきたかわかるから、その点では良いなと思う。けど同時に知りたくないことまで知ってしまうから、いいことばかりじゃない。 晶は浮気しない。これだけはわかっている。 「晶って、聖人だよね」 「え、どういう意味?確かに二十は超えてるけど」 聖人と成人を勘違いしてる晶に、俺は違うよと答えながら、でも答えは告げずに立ち上がりキッチンに向かう。普段から行う動きで冷蔵庫を覗いてしまったが、もちろん中身は何もない。振り返って晶に問う。 「夜ご飯どうしようか」 「そうだな…さすがに今日は疲れたし外に食べに行けばいいんじゃないかな」 「お、引っ越し記念?」 「そう。それに後三日したら二年記念日だし、ちょうどいいんじゃないか」 そうだった、今日から三日後、一月十日には俺たちは交際二年を迎える。思わず忘れてたと口に出そうになり咄嗟に口を噤んだ。晶は結構記念日を大事にするタイプな為、俺がそれを言った瞬間くすぐり攻撃が実行される可能性がある。半年記念日の時に実際に行われたことがあるため忘れてたは禁句だ。偶然にも晶は特に異変を感じていないようで助かる。 「そうだね。じゃあ食べに行こう」 冷蔵庫を閉めて、出かける準備をする。いつも通り晶にマフラーを巻いてもらい、玄関を開けた。鍵はオートロック式な為、そのまま鍵をかけずににエントランスに出る。 「どこがいい?」 「この間翔が美味しい焼き肉屋見つけたって言ってたからそこ行こうか」 「お肉!いいね」 どちらからでもなく手を繋ぐ。冬の堪える寒さの中で、ここだけはほどよい温度の炬燵の中のようだった。晶と関わったことのある人ならわかってくれると思うが、晶は本当に太陽のみたいな人で関わる人間すべてを明るく照らしてくれる。そんな晶が、俺は大好きだ。 横断歩道を渡り、商店街を通り街に出る。この先に店はあるらしい。何を食べようかなんて今から二人で考える。なにしろ今日は俺たちは引越し作業で腹ペコなのだ。 店に着き待合の椅子に座る。もう夕飯時だからか人が多く賑わいを見せていた。奥の方から大きな笑い声も聞こえるし、もしかしたら大人数が利用しているのかもしれない。少し待つと俺たちが呼ばれて、トイレが近い奥の席に通された。 「はー寒かった!」 マフラーを外してふうと息をつく。晶も上着を脱ぎメニュー表を取り出した。

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