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転2

  そして、遊園地に着いた大五郎と昊は昊の望み通り観覧車に乗ってチューをした。 「キャ〰、うさごろう、じょりじょり♪」 頬擦り付きの楽しいデートが終えた後は、名目上はサプライズと言う名の大五郎の五十二歳のお誕生日会が開かれた。 「お帰りなさい、昊ちゃん♪」 「楽しかったかい♪」 「うん♪ただいま♪楽しかった♪」 と、出迎える轟は良しとして、陽毅がいることに大五郎は不服そうだった。 「テメー、オレの誕生日くらい席外すって言う気配りは出来ねぇのかよ?」 「ええー、何、言ってんの?今日の費用と主催者は俺だよ?」 少しは偉いって労って欲しいよね?と昊に意見を振ると、昊は「うん♪ハルキは、エライエライ」と陽毅の頭をなでなでしていた。 昊に取っては、一日中大五郎と一緒にいられてた上に、観覧車でチューをして貰ってご満悦なのだ。 「今度はハルキのお誕生日にデイトしようね♪うさごろう♪」 の台詞がなければ、勝者は陽毅だったのかも知れない。 「うううっ、そんなぁ〰」 「ま、当然の結果だろう。昊はクソ計算高い大人社会で生きて来たんだぜ。陽毅の腹黒さなんてお見通しだ」 な、昊?と大五郎が昊に振ると昊は何のことと言う顔で、首を傾げた。 腹黒いとか、計算高いと言う言葉の意味が解っていないのだろう。 そんな昊を気にしないで良いのよと言う轟は落ち込む陽毅に追い討ちをかけていた。 「うふ、ハルくん、残念ね♪」 轟も大五郎押しであるから、昊の台詞に大満足なのである。 「うさごろう、ココ、座る?」 昊はそう言うと応接間から持って来たであろうソファーをポンポンと叩いた。 如何にも主役の席と言う場所に大五郎も気分がいい。 「んじゃ、今日はオレの誕生日と言うことで祝われてやろうじゃねぇの?」 そう言ってふんぞり返る大五郎だが、今日一日昊の相手をして、足腰はガクガクだったとは言わなかった。 折角、昊の隣に座れるんだからと年甲斐もなくウキウキしていたら、昊は陽毅が作ったと言うケーキに心を持っていかれていた。 「ハルキ、スゴいね♪生クリームとイチゴがたくさん乗ってるよ♪」 ロウソク、ふっとするの? そう喋る昊は、陽毅のご機嫌を瞬時に回復させていた。 「そうだよ。来年は昊のケーキも作って上げるからね♪」 「ホント、ハルキ、楽しみにしてるね♪」 頬をリンゴのように紅くして、昊は嬉しそうだった。 陽毅はこう言う感じでいつも昊を喜ばせるから油断も隙もあったモノではない。 大五郎は昊の肩を叩くと当然のように自分の膝を指した。 ココに座ればイイコトあるぞみたいにニコニコと笑って、 「ほら、ふっするか?」 と言う。 昊はイイの?と目を大きく開けるが、お誕生日のロウソクは願いを叶えてくれると施設長が言っていたことを思い出して、「うさごろうがふうしないと、ダメなの!」と昊は大きく首を横に振った。 「今日はうさごろうの誕生日でしょう?」 そうは言うが、目線はずっとロウソクに向いた儘だった。 相当我慢しているようで、昊の阿呆毛がクルクルと廻っていた。 「そうか、そんなら、陽毅にふうして貰おうかな?」 大五郎が意地悪くそう言うと、昊の大きな瞳が陽毅を睨んだ。 「ダメ!!ハルキ、ふうしちゃダメ!!」 そう言うと陽毅の身体を押し倒して我先にとロウソクに灯された火を一気に吹き消した。 床に突き飛ばされた陽毅はえらいとばっちりを喰らっている。 が、誰も陽毅の心配などしていない。 「まぁ、昊ちゃん、上手に消せたわねぇ♪」 轟は轟で、昊にそう言って昊を誉めているから陽毅は苦笑いをするしかなかった。  

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