19 / 27
第19話 大義名分 ***
「お前の身体に、二人の男が欲情してるのがわかるか? ……俺は今、お前が裏切ってくれたことに、感謝すら感じてるよ」
「何、を……」
「お前を抱く、大義名分が出来たからな」
煌誠は十年前「約束を破らない限り、お前自身をどうこうするつもりはない。手は出さない」と氷岬に約束した。
煌誠にとって、ヤクザの契りは絶対だ。
だから、今までどんなに氷岬に対して劣情を抱いたとしても、決して手を出すことはなかったし、そんな感情を気取られるようなヘマもしなかった。
それでいいと思えるほど、氷岬の忠誠は絶対だった……のだが。
「あッ……」
煌誠は快楽で既にぐったりした氷岬を抱え上げる。
そしてソファに座った自分の上に、氷岬を後ろ向きで跨らせるよう座らせた。
そのまま腰を掴んで少し浮かせ、天を仰ぐ自分のペニスに、時間をかけて丁寧に解した氷岬の蕾をあてがう。
「初めては顔を見てしたかったが……撮らせてる伊吹にもサービスしてやんなきゃな。ほら、お前の後ろを俺が犯すとこ、しっかり撮って貰えよ」
「ひ、ぁ……!!」
めりめり、とか。
みしみし、などという音がした気がした。
無理矢理こじ開けられるような感覚が自分のアナルを襲い、氷岬は経験したことのない痛みと恐怖に息を詰まらせる。
「氷岬、ゆっくり深呼吸しろ。急には|挿入し《いれ》ないから」
「~~っ、は、ぁ……」
煌誠の言葉を素直に受け止め、氷岬はすぅはぁと息を吸ったり吐いたりを深く繰り返す。
ローションで滑りをよくした煌誠のペニスは、柔らかく解された氷岬の奥へと、時間をかけて徐々に侵入していった。
「……凄いっすね……性癖歪まされそう……」
伊吹は、脳裏とスマホに目の前の光景を刻み込む。
ピンク色の綺麗な柔肉の隙間に、血管の浮き出た煌誠の逞しい男根が呑み込まれていく。
二人の結合部からはタラタラとローションと思わしき液体が涙のように流れて、中心に刺さった杭を濡らす。
それは酷く情欲を掻き立てる、けれどもどこか現実のものではないような淫靡で美しい交合だった。
「ん……っ、は、ぁあっ……」
氷岬との初めての交わりに、煌誠は焦れったいという感情すらも楽しいと感じた。
細くしなやかな氷岬の腰を掴むと少しずつ揺らし、その腸圧をじっくりと味わいながら、同時にその質量に穴が馴染むまで時間をかけて慣らしていく。
「これから毎日お前に埋まるペニスだ、きちんと形を覚えておけよ」
「……は、い……ぁあっ!」
「締めすぎだ、氷岬」
「やめ……っ、前、触らないで、くださ……っっ」
「なんでだ? 尻を掘られながらじゃ、気が散るか?」
氷岬は眦に涙を浮かべながら、ふるふると首を横に振る。
「違う? ならいいだろ、こっちも可愛がってやんねぇと可哀想だ」
「ひぁ、ちが、このままだと、汚してしまいます……っ」
「いいから、汚せ。ほら、俺の手でイけよ」
「ああ……ッッ」
十年ぶりに昂ったペニスを的確に刺激され、煌誠の導かれるままに氷岬は熱を吐き出す。
ぎゅうう、と氷岬の中が締まって、必然的にもたらされた射精感を煌誠はぐっと耐えた。
伊吹は股間を熱くしながら、後ろの穴を煌誠にみっちりと埋められたまま達した氷岬の様子を、しっかりとその目に焼き付ける。
男の精液なんて不味いはずなのに、その手に着いた氷岬の精液を舐めとる煌誠の表情は、まるで甘露を口にしたが如く恍惚としていて、美味しそうだ。
「……氷岬、大丈夫か?」
「はい……」
くた、と力が抜けた氷岬を、自分に寄りかからせるようにして煌誠はその身体を支え、線の細い顎をくいと自分へ向けさせ、口を塞いだ。
「ん……っ、ふぅ……」
限界までその入り口を開かされたと思われていた氷岬のアナルが、じゅぶじゅぶ、と煌誠のペニスをさらに奥まで吞み込んでいく。
「いい子だ」
自分の剛直を奥深くまで頬張った氷岬を労うように、煌誠はその下腹部をすり、と撫でる。
「んぁ……っ」
「ここまで挿入ってるの、わかるか?」
「はい……」
「本当はもっと入るが、今日はここまでだ。お前がよがり狂うようになるまで、これからずっと、躾けてやる」
トロン、とした瞳で煌誠を見上げる氷岬。
堪らなくなった煌誠は、右手で勃ち上がった氷岬の乳首を優しく摘まんで愛撫し、同時に睾丸をそっと握ってやわやわと刺激を送り、再び氷岬の舌を吸った。
ともだちにシェアしよう!

