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第21話 一年後 ***

それから、一年が経過した。 煌誠は氷岬を自分のものだと宣言し、組の内外問わず二人の関係は公のものとなっている。 氷岬は煌誠の面倒を見ながら警察とのパイプ役やITを駆使した情報収集といった役目を担い、ガサ入れや闇名簿などの有益な情報を仕入れることで日々を消化していた。 「ほら、もうぐずぐずだ。可愛いな、氷岬は」 「煌誠さん……っっ」 氷岬は毎日、昼夜問わず煌誠に抱かれ、その身体は隅々まで管理されている。 仮に勃起しなくとも、射精とは違ったオーガズムを知ってしまった氷岬は、Ωでもないのに男に抱かれる快感を刻み込まされた。 初めての時、奥まで暴かれることを拒んだ氷岬のアナルはすっかり煌誠の大きさに慣れ親しんで、他のオモチャなどでは満足できない身体に躾けられている。 「お前の身体は本当にここを突かれるのが好きだな。ほら、少し突いただけできゅうきゅう吸い付いてくる」 「ぁんっ! ……そこ、好き、です……」 「もっと?」 「はい、もっと、シて、くださ……ああッッ!」 自分に抱かれている時だけ、氷岬の頭は運命の番ではなく、煌誠でいっぱいになる。 それに気づいてから、煌誠が氷岬をセックスで満たす時間はさらに増えた。 氷岬の両腕を後ろから握って引っ張り、すっかり媚びを覚えた氷岬のアナルに激しいピストンで犯し続けたまま、今日の夕飯の献立を話すかのように煌誠は話し掛ける。 「そうだ、氷岬。明日から少し、俺は別行動だ。お前にはあの会社を戻すから、そのつもりでいろ」 「はい、ぁっ……、わかり、ました……!」 急な体調不良を表向きの原因として社長職を降ろされた氷岬だが、何も知らない社員からの復帰を望む声は多い。 「明日から、秘書と連絡を取って元の業務に戻れ」 氷岬が先にドライで達し、その締め付けに耐えられなくなった煌誠が、ほんの少し遅れて氷岬のナカに熱い飛沫を流し込む。 頬を紅く染めた氷岬をそっと横たえ、色んな液体でベトベトになったその身体にキスマークをつけながらも、お湯につけて固く絞ったタオルで拭っていく。 普段と変わらない、優しい仕草。 その手が震えているように思えた氷岬は、気持ちの良い怠さが脳へと浸透する前に、そっとその手に自分の手を重ねた。 少し目を見開く煌誠に、喘がされすぎて掠れた声で囁く。 「……大丈夫ですよ、煌誠さん。約束は守ります」 「……ああ」 番を探さないという約束の代わりに、煌誠は番を殺さないことを約束した。 そもそも、氷岬には番と堂々と会う資格なんて、はなからなかったのだ。 昔は身体を売り、組に入って、今は毎日他の男に抱かれているαなんて、どんなに心の広いΩであっても嫌だろう。 最初は番を諦めるためにそう思い込もおうとしたが、考えれば考えるほど、それは事実であるように思えた。 そして、それから一ヶ月。 夜遅くに帰宅した煌誠は、先にベッドに潜り込んでいる氷岬の瞼や額、頬にキスを落とすだけで、抱くことはなかった。

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