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44.肌に刻まれしもの
神父は、“上”から三時間ほどして、リトのいる小部屋へ戻ってきた。
「話はつけてきました。一番大事な話は、“仲間”が揃った時に話します。ラスヴァン君は後で出かけるらしく、ザック君もどこかへ行ってしまったので、明日あたり、皆が落ち着いている時ですね」
「わかった…」
リトは、新たな“仲間”という言葉に驚き、くすぐったさを覚えつつも、悪い気はしなかった。
照れ隠しに、前髪をかき上げる。
ラスヴァン、ジェイス、ミハイルは廊下に出て、椅子に座ったまま、やや心配そうに待機していた。
神父とリトは、部屋の真ん中の広めの場所に立ち、向かい合っていた。
「さて、これは君の魔法の話ですが……魔法は、術者の身体に現れる〈魔法陣〉を通して発動します。その場所は人によって異なり、生まれつき運命に導かれるように刻まれます」
神父は真面目な顔でそう告げた。
「……ん、で?」
リトは腰に手を当てて偉そうに、神父に返す。
「つまり、魔法陣が……股間や尻っぺたに現れている可能性も、否定できないわけです」
不穏な空気が流れた。
「……で?」
リトは一瞬動揺したが、自分を立て直す。
「ですので、一応確認の為――全裸になってください」
「………………」
一瞬、リトの時が止まった。
「ちょ、はあああああ!? なんでそうなる!?」
「いえ、これはあくまで君の魔法と研究のための――」
バァン!!
「冗談じゃねえっ!!」
リトは叫びながら、ドアをぶっ壊す勢いで慌てて出てくる。
神父はリトを羽交い締めにして止めた。
「これは大切なことなんです!」
神父はズルズルと引きずるように、リトを部屋へと戻し、勢いよくドアを閉める。
「だいたい検討はついてます。パンツを脱ぐだけで全て解決です!」
「あっ――! ちょ、テメェ、なに脱がしてんだ! っあ! やめろおお! こら、てめえええっ!!」
ドンガタ! バン! ドンガラガッシャン!!
リトの叫びと、何かが散乱する音が響く。
それをただ何もできず、ドアを見つめる――ラスヴァンとジェイスとミハイル。
「と、止めに行った方がいいか?」
オロオロするミハイル。
「で、でも、邪魔しちゃダメって言われたし……」
アワアワするジェイス。
「……ほっとけ」
低音ボイスなラスヴァン。
しばらくして―――
「はあ、はあ……ありました、ありましたよ!
私が目をつけていたとおり、お尻のぷりんとした右臀に、魔法陣がちゃんと浮き上がっていましたよっ!」
神父の髪は乱れ、ローブの肩と腕部分は引き裂かれ、片方の肩があらわになっていた。
しかし本人は、いつになく興奮していた。
そして―――
「ちくしょう……」
開かれたドアの向こうにいるリトは、生まれて初めての辱めを受けたのだった。
床によろついて倒れ、ジーンズを膝の下まで下ろされたその姿は――
黒のビキニパンツの下着だけが、やたらと目立っていた。
「……ラスヴァン、なにがあったんだろ……」
ジェイスが不安げに呟いた、その瞬間。
ラスヴァンは、無言でジェイスの目を両手でふさいだ。
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