9 / 9
第9話*
「・・・ひっ・・・っ・・・も、おく・・・だめぇ・・・っ」
赦して、ほんとに、死んじゃう。
「子宮 も、噛まれるのも、好きでしょ・・・俺のためにこんなに可愛く、淫猥 らしい格好してくれたプレゼント・・・美味しい・・・俺の璃都 ・・・っ」
「ひぁ・・・ぃた・・・ぁ・・・ぁ"んっ!」
カイが新しい噛み痕を付けながら、最初からずっと俺のナカから抜かないままのモノで再び奥をこじ開ける。
飲み込みきれない白濁が溢れて、卑猥な音を立てた。
黒いレースの下着は、未だ切り裂かれず乱れてはいるものの、着たまま。
首に巻いたリボンは残念ながら、噛み付かれてずたずただ。
「ふふ、さっきからずっとイきっぱなしだけど、大丈夫?」
大丈夫な訳あるか!
噛むのは手加減してくれてるみたいだけど、それ以外はまったく手加減してくれてないじゃん!
「ひぅ・・・らめぇ・・・っ・・・しんじゃぅ・・・」
「殺したりしないって、言ったよ・・・っ」
「ん"ぁあっ!」
もお出ない、なんも出ないから・・・。
身体、痙攣してやばい。
ほんとに死んじゃう・・・。
「もうお腹いっぱいかな。あと1回ごっくんできたら、解放してあげる」
「やらっむり・・・ぃい"っ!」
お腹いっぱいってわかってて、まだ流し込む気?
・・・鬼!
悪魔っ!
変態オオカミぃっ!!
───────
あれ・・・明るい・・・いま、なんじ・・・?
「おはよう、お寝坊さん。準備出来てるよ」
開かれたカーテンから差し込む朝日が眩しい。
・・・ああ、俺、生き延びたんだ。
スパダリオオカミのおかげで、当然のように俺もベッドも綺麗。
もそもそと起き上がろうとして断念する消耗しきった俺とは正反対に、起こしに来たカイは元気そう。
既にエプロンも装着済みだし。
「・・・ん"ぅー・・・なんじぃ・・・?」
「9時過ぎ」
「・・・ゔぅー・・・だっこぉ・・・」
「喜んで」
ベッドから抱き上げてもらい、だらんと脱力しきったまま運ばれる。
カイの言う準備とは、ケーキ作りの準備って事だろう。
洗面所に寄って顔を洗ってから、キッチンへ。
今日のクリスマスランチに持って行く予定のケーキは、大人の生チョコタルトだ。
結論から言うと、俺はシーラカン スを抱いてカウンターチェアに座ったまま、カイにあれこれ指示をして、最後のデコレーションだけ手を出した。
仕方ないだろ、身体ががくがくなんだ・・・。
「よし、上手に出来た。それじゃ、着替えようか」
「だぁっこぉ」
「璃都、今日は抱っこちゃんだねえ」
ケーキを冷蔵庫にしまってから、嬉しそうに俺を抱き上げるカイ。
俺の手からシルを奪い、俺の座ってたイスに置いて寝室へと向かった。
海に帰れない仲間たちは、俺があっちこっち持って行ってはカイの手によって置き去りにされるので、週イチで集めてまわるのが習慣になってる。
現時点でシルがカウンターチェア、クラゲ その1とネムリブカ がリビングのソファ、クラゲ その2が寝室のラグの上、アザラシの赤 ちゃんと茹で タ ラバ がリビングのラグの上、マダコ が大型水槽の上・・・あれ?
「ねぇカイ、クラミドセラクス・アングイネウスが居ない」
「誰・・・あ、ラブカ?」
「どこ置いてきたんだっけ、クラミドセラクス・アングイネウス・・・」
「ラブカだけ名前が学名そのままなんだね」
よくクラミドセラクス・アングイネウスがラブカの学名だってわかったな。
「確か・・・あ、ほら、ここに居るよ」
「クラミドセラクス・アングイネウスぅ」
「気に入ってるんだね、その学名」
クラミドセラクス・アングイネウスは、いつも通りぱかーっと口を開け、ウォークインクローゼットのキャビネットの上に横たわってた。
後でリビングに連れてってやらないと。
「それじゃ、これ着て・・・」
「・・・あっ!!」
「どうしたの?」
今年の俺、悪い子だったのかな・・・だって、起きた時、ベッドの上に、なかった・・・。
「オオカミサンタ、来なかった・・・」
「ちゃんと来たよ。着替えてから見に行こうね」
え、ほんと?
ちゃんとオオカミサンタ来た?
俺のクリプレどこ?
ベッドの上にはなかったよ?
そわそわする俺を手際良く着替えさせ、自分もさっと着替えるカイ。
白シャツの上にグレーのニット、ダークグレーのジーンズ、シャツの裾がニットの裾から出てラフな装いだ。
全身灰色で、ハイイロオオカミ全面に押し出してんじゃん、どうしたの?
「おいでネコちゃん、抱っこしようね」
「うん・・・ん?」
クリプレの事で気も漫 ろだった俺は、カイによって着せられた衣装に今更気付いた。
「長毛種のラグドールだって。抱っこ大好きな璃都に良く似合うね」
毛足の長いフェザーヤーンのパーカーにカーゴパンツ、どちらも基本は白で、パーカーの袖とカーゴパンツの裾が濃いグレージュになってる。
パーカーのフードには、もっふもふの耳。
・・・お義姉 さん作か。
「今日はハロウィンじゃなくてクリスマスなんだけど?」
「コスプレって程じゃないでしょ?普段着だよ」
「そう?まあ、いいけ・・・ど・・・ってしっぽ生えてる!?このパーカーしっぽ生えてる!」
パーカーの背中側の裾に、ふっさふさのしっぽ生えてた。
フード被んなきゃ普段着と言えなくもないと思ったけど、しっぽ はアウトだろ。
着替えたい、けど、あっさりとカイに捕まって抱き上げられてしまった。
「ツリーを見に行こうか」
ちゃっかり、俺にパーカーのフードを被せてカイが歩き出す。
諦めて脱力する俺。
・・・いや、それより、俺のクリプレは?
昨夜頑張った俺の、クリプレは!?
「・・・ぇ・・・あれって・・・」
玄関ホールに下りると、そこにはまさかの物が。
尾端に向かって先細るぴかぴかの銀白色ボディに薄青色の斑点、頭部分が冠みたいになっている尾端まで続く紅い背びれとオール状の2本の紅い腹びれ、何よりツリーの根元でとぐろを巻く3mはありそうな体長・・・。
「リュウグウノツカイ!」
「璃都は大きめのぬいぐるみが好みだと思ったから、実物大を特注したんだ。気に入った?」
「実物大!?やり過ぎ!もお、どおすんのさコイツぅ、ちゃんとうちで飼えるかなぁ」
そうは言いながらも、リュウグウノツカイを抱 え上げてにやにやが止まらない俺。
これはいい・・・ぎゅってして良し、巻いて良し、乗って良し、引きずって良し・・・。
「ふふ、嬉しそう」
喜んでんのバレてる。
早速リビングに連れてって、コイツの置き場所 を決めなきゃ。
「まだあるよ」
「え?」
「そろそろ行こうか。その子リビングに置いて、ケーキ持って来よう」
「あ、うん」
カイがなんか言った気がしたけど、約束の時間が迫ってるのは事実だし、とりあえずリュウグウノツカイを抱えて階段を上がる。
ずりずりと引きずりながら。
「・・・っ、獲物咥えてしっぽふりふりしてるネコちゃん、可愛過ぎる・・・っ」
「なに言っ・・・ちょっと、勝手に動画撮らないでください、マネージャー通して」
俺の後ろを付いて来るカイが、スマホ構えながらオオカ耳ぷるぷるさせてる。
俺は、そのぷるぷるオオカ耳の動画が欲しいんですが?
「公私共に璃都を支えるマネージャーなら、俺でしょ?俺は動画撮り放題だね。あ、身体つらくない?それごと抱っこするよ?」
カイの手を躱し、リビングへ。
リュウグウノツカイ をソファに巻き付けていると、カイがケーキカバーをした生チョコタルトを箱に入れて持って来た。
・・・あ、手ぇ塞がっちゃってんじゃん。
「ケーキ、俺持つ」
「そう?」
「だからカイは俺を抱っこしろ」
「ああ、抱っこの心配してたのか。大丈夫だよ」
右手にケーキの箱を持ち直し、左腕で俺を抱き上げるカイ。
俺の首元にすりっと顔を寄せて、甘えてくる。
「両手塞がってたら玄関開けられないじゃん。俺に開けさせてくれんの?」
「シグマが迎えに来てるから問題ないよ」
「・・・あ、そ」
俺、いつになったら自分家 の玄関、開けられるようになるんだろ。
ともだちにシェアしよう!

