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第10話
「えっ・・・凄いのがいる・・・!?」
ガレージに忽然と現れた新車のスポーツカー。
低めの車高、ダークメタリックグレーのボディ・・・これ、雑誌で見た事ある・・・何千万もするんじゃ・・・?
「うん。璃都 へのクリスマスプレゼント。運転手付きだよ」
「ええっ!?」
免許も持ってない俺にクリプレに買ってあげちゃいけないやつだ。
「か・・・っこいい・・・!運転手って?」
「俺」
「して!運転!乗りたい!これで行こ!」
「ふふ、かしこまりました」
カイに助手席のドアを開けてもらい、シートに座る。
うわ・・・すご・・・ちょっと緊張する・・・。
「シートベルトしようね」
「うん」
運転席に乗り込んだカイが俺のシートベルトをして、クリスマスランチするレストランへ向かう。
内装もかっこいい・・・エンジン音凄い・・・こんなスーパーカーに乗る日が来るなんて・・・!
「はい、到着」
「いつもの倍速かった気がするっ!」
「ふふっ、法定速度は守ったよ?」
スーパーカーにテンション爆上がりの俺をカイが抱き上げ、レストランへと入る。
たぶん、カイが抱き上げなかったらずっとあのメタリックボディを眺めてたと思う。
「遅かったじゃーん。もー飲んでるよー」
「いつも先に飲んでるだろ。俺のネコちゃんが寝坊したんだ」
「ちょりと、ケーキ作って来るって言ってたのに」
「ちゃんと作ってきたってば・・・俺の指導でカイが」
豪華クリスマスランチが並んだテーブルに着き、既にワインやカクテルを呷 っていたりっくんと玲央 。
りっくんはライトグレーのシャツにチャコールグレーのベストとスラックスで、カイと同様ハイイロオオカミ全面に押し出してる。
玲央は・・・。
「今日のドレスコードはオオカミとネコ?」
玲央の服装は黒いベルベットパーカー、フードには獣耳、背中側の裾から生えてるすらりと長いしっぽ、ブラックジーンズだ。
「俺は家ネコのお前と違ってクロヒョウだ」
「お義兄 ちゃんがマウントとってくる・・・」
黒ネコじゃなくてクロヒョウなんだ。
・・・あ、ほんとだ、光のあたり具合でヒョウ柄が見える。
なんかムカつくな。
「カイザルさん、ちょりとの猫種は?」
「今日は抱っこ大好きラグドール」
「ぷっ・・・甘えんぼさーん」
「玲央レオパ、りっくんを俺の代わりに引っ掻いてくれ」
俺とカイも席に着き、乾杯して食事を始める。
りっくんの料理は相変わらず美味しい。
「なあ、カイザルさんが作ってきてくれたケーキも切ろうぜ」
「俺の指導の元、カイが作ったケーキな。デコレーションは俺がやったし、俺が作ったと言っても過言じゃない」
「璃都はドヤ顔も可愛いね」
「お、ちょりとバラ絞 り上手じゃーん」
「でしょっ!」
食べて飲んで・・・満腹になった頃に俺はやっと気付いた。
カイ、お酒飲んでない。
そっか、運転手付きスーパーカーで来たいって俺が言ったから、カイ飲めないんだ。
「カイ、ごめん・・・」
「どうしたの璃都、急にしょんぼりして」
「俺が運転してって言ったから、カイお酒飲めない・・・」
カイはすぐ酔っ払いオオカミになるけど、お酒は好き。
目の前でりっくんと玲央が飲んでるの見てて、自分も飲みたいって思ってるはず。
「ふふ、そんな事気にしなくても・・・あ、じゃあ代わりに璃都吸わせてくれる?」
「・・・どおぞ」
カイがしたいなら、好きなだけ。
俺はイスから立ち上がり、カイの膝に座った。
「え、いいの?俺、お酒飲んだ時よりヤバくなるよ?」
「カイがヤバいのはいつもじゃん」
「まあ、そうなんだけど・・・あー・・・ほんといい匂い・・・」
カイが俺の胸元に顔を埋め、俺吸いを始める。
ついでに頭も撫でてやるか。
「カイザルぅ、良かったなー、ちょりとが甘やかし上手になってぇ」
「でも未だ甘えベタだよな。酒飲ませてあげられないってだけで、しょんぼりするなんて」
りっくんと玲央が微笑ましそうに見てくる。
この2人の前では、俺はもうカイとのスキンシップを恥ずかしがるとかしなくなってきた。
何故なら・・・。
「僕も玲央吸おーっと」
「お前、吸うより舐める方が好きじゃん」
「じゃー舐めよーっと」
「ん・・・っ、おい、口じゃねぇのかよ」
りっくんが玲央を抱き寄せて、首をぺろぺろ舐め始めた。
玲央は口が良かったらしい。
こんな感じで、玲央もりっくんとのスキンシップを俺たちの前で恥ずかしがる事がなくなったんだ。
遊んだり旅行行ったり、この4人ではリラックスした状態で過ごす事が多いもんな。
「りっくん、オオカミサンタからプレゼントもらった?」
「ああ、新しいグラボとゲーミングチェアと、新車買ってもらった」
「ぐらぼ?」
「グラフィックボード」
あ、ゲーミングPCのパーツか。
「ちょりとは?」
「リュウグウノツカイ!」
「また変なモノを・・・」
「あと今日乗って来たスーパーカー」
「なんで無免許ネコがスーパーカーもらってんだよ」
「カイ 付き」
「成程」
お互い、旦那にすーはーぺろぺろされながら普通に会話する。
他所 様にはとても見せられない痴態だ。
「ちょりと、カイザルさんへのプレゼントは頑張れたのか?」
「が・・・んばったなんてもんじゃないから!内緒の2着目を決死の覚悟で着た」
「おま・・・自分から着るなんて勇者じゃん」
「玲央も自分から着てあげなよ」
「俺はそーゆーキャラじゃない」
「キャラって・・・」
玲央、既に4着着せられたんだっけ。
残りは俺と一緒で隠してるって言ってたけど、その内見つかって着せられるんだろうな。
「残り、どこに隠してんの?」
「旦那の前 で言う訳ないだろ」
「まさかあんなトコに隠してるなんてねー」
「は!?」
「璃都は定期的に場所を変えてる」
「え!?」
唐突に会話に入ってきた旦那たち。
俺も玲央も、どうやら既に隠し場所がバレてるっぽい・・・?
・・・いや、ブラフかも。
「ブラフだな」
あ、玲央もそう思う?
「でもちょりとの方はバレてるな」
「なんでだよ」
「定期的に動かしてるって、バレてんじゃん」
「そ・・・れは・・・」
ヤバい、ほんとにバレてんの?
どおしよ・・・帰ったら庭に穴でも掘って埋め・・・。
「璃都、スコップ買ってあげるから、手で掘っちゃだめだよ?」
「庭に埋めるのはやめる」
「そう?」
だめだ、どこに隠してもバレる未来しかない。
寧ろ、最初からどこに隠してるのかバレてたんじゃないか?
「璃都が自分から着てくれるのが嬉しいから。無理やり着せたりしないよ」
「あ、そ・・・」
次は・・・カイの誕生日だな。
お義姉 さん、もっと刺激の少ないやつにしといてくれれば良かったのに・・・。
「あー、お従兄 ちゃんがマウントとってくるよー。玲央ぉ、帰ったら着てぇ?」
「俺はラグドールみたいに従順じゃない」
りっくんが玲央の耳を舐めながら甘えても、玲央は塩対応だ。
さすがクロヒョウ・・・と思って見てたら、りっくんの金眼がす・・・っと暗くなった。
「知ってるぅ・・・それを抑え付けて泣くまで可愛がるのがイイんだけどね」
「子どもの前でそーゆーのやめろ!」
「俺は子どもじゃないんだが!?」
どさくさに紛れて人を子ども扱いすんな。
成人した既婚者だぞ。
「リシド・・・泣いてからも可愛がらなくてどうする」
俺吸いに満足したのか、今度は頸に喰い付き始めるカイ。
いや、泣いたらやめてくんないかな?
喜んで続けるんじゃなくて。
「おま・・・ちょりとが本気泣きするまで虐めてんだろ?まあそれで、ロシアンブルーみたいにフーシャーだったのが、ラグドールにまでなったんだろうけど」
「猫種って進化するもんなの?」
別にフーシャー威嚇なんてしてなかっただろ。
最初からちゃんと大人しく怯えてたっつの。
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