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澄み渡るほとり 2 ※

 「……あ、あ!……カシ、ア、ン……っ!」  中を探るように動いていた指先がふっくらとしたしこりを押し込むと、快感が電流のように下肢を痺れさせ、陰茎がぴくぴくと跳ねた。強い射精感に思わず腰が揺れる。  上がったしぶきが髪まで濡らし、重たく濡れた衣は肩から滑り落ちて腰紐に絡まるように水面に揺れている。  カシアンの顔にかかった髪を濡れた手でかき分け、何度も口づけを乞う。  体の奥深くまで満たし、染め上げてほしい。  二人の脈打つ熱が水の中で重たげに揺れ、水温を上げていく。  「もう、はやく……っ」  頭を抱き寄せ、耳たぶを舐め上げて囁く。  指の動きに合わせて甘い吐息を吹き込めば、カシアンの胸の鼓動が早まるのを感じた。  後孔に埋まった二本の指がずるりと引き抜かれ、肉壁が名残惜し気にひくつく。  甘美な余韻に浸っていると、急に視線がふわりと高くなった。  「暴れるなよ、そのまま掴まっていろ」  カシアンはキリエルを抱え上げると、脚を割り開き膝裏に腕を差し込んで持ち上げた。  水の浮力でふらふら揺れる体を、慌ててカシアンの体に巻きつけて固定する。  蕾に固い亀頭が触れ、腹の中が期待でぬかるんでしまう。熱を求めるように腰を下へと突き出し、入り口をぐりぐりと押し当ててゆする。  「……焦らなくても、すぐに挿れる」  低く掠れた声が耳元で響き、興奮で息が荒くなる。  ゆっくりと膝裏を支える腕が下がり、突き立てられた肉棒が狭路を押し広げて進む。  「……ぁああっ!……みず、はいって……っ」  「くっ……しっかり俺の形に、締めてみろ……っ」  腹に力を込め、冷たい水を押し出すように隙間なく肉棒を締め上げる。膨らんだ前立腺が押し潰され、肉壁は断続的に痙攣し快感を拾い続ける。  ずぶずぶと奥まで侵入し、下生えがキリエルの臀部に触れるころには、蜜壺は一人でに蠢き、ぴったりと嵌まったものを揉むように締め付けて愛撫する。  「……ひ、あぅ……んぐ、ふっ……ああ……っ」  「……っ、すごいな、喰われて、しまいそうだ……」  カシアンはキリエルの震えが止まるまで、じっと待った。喰い締める後孔が早く擦ってほしいと誘惑するようにひくついても、歯を食いしばって耐える。  しかし、水面の揺れがおさまっても、キリエルの中は熱く悶え続け、瞳は蜂蜜のように甘く蕩けて潤んでいる。  「……あっ、このまま……イきそ……はぁっ」  「そんなに、イイのか……っ?」  「あぁ、カシアン、だからぁ……っ、きもちい、ひ、ああぁっ!」  赤い眼差しに射抜かれながら、甘い痺れが全身を支配して絶頂に達する。  少量の精液が水の中で漂い、すぐに波に流されていく。  痴態を余すことなく見られている羞恥が、脳を陶酔させた。  「……――くっ……ふ、俺が、好きなんだな……?」  内壁の圧に堪えながら、嬉しそうに目を細めて笑う。  キリエルからの素直な愛情表現は、免疫のない男にとって劇薬のように体を高ぶらせる。  剛直はどくどくと脈打ち、より硬く育っていく。  カシアンの興奮を感じて、キリエルの体も呼応するように乱れていく。  何度も舌を絡め、「好きだ」と囁き合い、ぬめる腔内の熱さが増す。   「……っイく、またイく……止まらな……ひぐっ、……っだめ、あぁ……っ」  腰をぴったりとくっつけたまま、再び肉壁の喰い締めだけで果てる。  白い閃光が目の前で弾け、全身がガクガクと震える。水音の静まった清澄なほとりに、喉を迸る甘い悲鳴が響いた。  ゆるむことのない肉壺は脈打つ剛直を舐めしゃぶるように蠢き続ける。  手足は助けを求めるようにカシアンの肌を這い、快感の強さを訴えた。  奥深くにはめ込んだまま腹の中に居座る熱の塊が、キリエルの体を狂わせていく。  「もっと感じてくれ……キリエル……っ」  うっとりと微笑むカシアンの吐息は荒い。水を混ぜるように腰を引くと、ペニスがずるずると抜けていき、すっかり馴染んでいた肉壁が引き剝がされる切なさに震える。  しぶきを上げながら再び奥へと突き入れると、強烈な摩擦の快感にキリエルの手足が暴れる。  「ああ!……ぐぅぅっ!」  「っは、掴まれ……っ」  カシアンの背中に爪を立て、高まり続ける悦楽を抑え込む。  これでは脳が茹だって馬鹿になってしまう。逃れるように腰を動かすと、容赦なく両手で尻を掴まれ押さえつけられた。  下から持ち上げるように掴んだまま、ペニスをしごくように前後に揺すられる。  じゃばじゃばと激しい水音に混じって悲鳴のような喘ぎ声が上がる。  「もう……っ離す、ものか……っ」  掠れた吐息が耳朶を焼き、キリエルの胸を震わせる。  互いの指が深く食い込むほど縋りつき、名前を呼び合う。  愛しさが溢れ出して絡み合っていく。  「キリエル、キリエル……あぁっ」  「カシ、ア、ひ……んぐぅっ、ああ、んあ"あ"――ッ!」  キリエルの腹の中で育ち切った剛直が、マグマのような熱を吹き出して跳ねる。  蜜壺の奥まで白く満たし、蠢く内壁は精を絞り取るように何度もきつく締め上げて甘えた。  腹の奥で快感が爆ぜると、キリエルも同時に激しい絶頂の波に飲まれ、溺れるようにオーガズムに達する。  全身の筋肉を硬直させ、背中が反りかえったまま注ぎ込まれる熱を甘受する。  あまりの高揚感に、焦点を失って天を仰いだ。  無防備に晒された喉元に、カシアンは唇を寄せる。  きつく吸い付き、情痕を上書きしていった。  ぬめる肉棒を惜しむように抜くと、乱れた呼吸のまま舌を絡め合う。  熱のこもった瞳が「まだ足りない」と訴えている。  しかし太陽が眩しく水面を照らし、新しい日を告げている。  白んでいた空が朝焼けの朱に染まっていた。    カシアンの指がキリエルの後孔へ伸び、二本の指で中を掻き混ぜる。  「……ふっ、んぁ……出ちゃう、だろ……」  「…………あぁ、またあとで注いでやる」  濃い白濁も、情欲の汗も、冷たい水が火照った肌を清めていく。  カシアンに抱きしめられると、慈しむような口づけが優しい雨のように降り注ぐ。    二人は池に全身を沈めて渇望の熱を鎮める。  動き出した風が濡れた肌を冷やして遠くへ去っていく。  水面は朝の光を受けて金色に揺れていた。

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