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本編後 夏夜の熱 1 ※
※本編後のアフターストーリーです。
※ハピエン後なので♡喘ぎ解禁しました。
夏の陽射しが、藍色の絨毯を照らす。
白と金の光が石壁を撫で、花々の香が淡く漂う。
聖堂の中は外よりも涼しく、どこか水底のような静けさがあった。
キリエルは祭壇の前で膝を折り、器に水を注いでいた。
純白の薄衣ではなく、薄手の白いシャツと麻のズボン。
手早く花を替え、蝋燭の煤を拭い取る。
「また手伝ってるのか」
聞き慣れた声が、石壁にやわらかく反響する。
振り返ると、陽に焼けた軍服姿のカシアンが立っていた。
夏の光を背負った赤髪が、金色で輝いて見える。
「手伝いじゃない。ただの日課だ」
キリエルは微笑んで言い、掌に残った水滴を布巾で拭う。
「戦が終わって、やっと静かになったからな」
「静かすぎて、怖いくらいだ」
ダリオが残した戦の種は、国外にも広がっていた。
以前起こった東の紛争が引き金となり、隣国からの侵攻を受け、防衛戦を余儀なくされた。
カシアンとキリエルは共に前線へ赴き、指揮を執った。
カシアンが歩み寄る。
香の煙が二人のあいだをゆるやかに流れ、光を散らす。
彼の手が、そっとキリエルの髪に触れる。
「……陽に当たって、髪が少し明るくなったな」
「焼けたのはお前の方だ」
「お互い様だろう」
軽口の合間に、指先が絡まる。
この聖堂では、もう誰も二人を咎めない。
太陽も、今はただ見守っている。
「祈りは済んだか?」
「いや、まだ」
「なら、俺も祈っていこう」
カシアンが隣に膝をつき、やがてふたりは額を寄せ合う。
「……また夜に、庭で会おう」
低い囁きが耳に落ちる。
キリエルは目を伏せたまま、微かに頷く。
外では、夏の虫が鳴き始めていた。
聖堂の高窓を抜ける風が、白い花弁をひとひらとふたりの足元に落とした。
◇
夜の庭は、白い花の香りで満ちていた。
昼の熱気が去り、風は湿り気を帯びている。
月が高く昇り、噴水の水面を銀に染めている。
その傍らに、キリエルが立っていた。
薄い羽織りを脱ぎ、シャツの袖を肘までまくっている。
光を受けた肌が、淡く青白く輝いて見えた。
「……待たせた」
低い声とともに、背後から影が近づく。
ふと学院のころを思い出して頬が緩んだ。
カシアンの外套が肩にかかる。
「冷える」
「お前、まだ軍服のままで」
「脱ぐのは、あとだ」
キリエルは思わず笑う。
噴水の縁に並んで腰を下ろす。
月の光を見つめながら、長い沈黙が落ちた。
戦のない夜。血の匂いもない風。
それだけで胸が詰まる。
「……この庭、よく手入れされてる」
「お前の部屋から一番近い庭だ」
「じゃあ、あの花は俺のために?」
カシアンは微笑むと、ゆっくりと顔を近づけた。
唇が触れ合う直前、キリエルは目を閉じる。
静かな口づけは、まるで祈りのように長く続いた。
舌が触れ、離れ、また絡まる。
花の香りが濃くなり、風が裾を揺らした。
カシアンの指が、キリエルの頬から首筋へと滑り降りる。
「……キリエル」
呼ぶ声は、熱を含んで鼓膜を震わせる。
「お前が欲しい」
その言葉に、キリエルは小さく息を呑んだ。
「もう、お前のものだ……」
囁くように答え、首筋に触れた唇を受け入れる。
涼やかな風と、熱い吐息が肌の上で溶け合う。
シャツをはだけさせ、火照った肌を夜風に晒す。
ツンと立ち上がった胸の飾りをくすぐるように指先で弄ると、あえかな声が漏れた。
密度の高い柔らかな筋肉を手のひらで包んで揉み、体の内側へと滑らせる。
ズボンをくつろげ、甘い期待で膨らんだペニスを撫で軽く擦るように動かす。
「ひ、あ、あぅ……やめ、だれか来たら…!」
快楽か羞恥か、体を走る震えが興奮を誘う。
先走りの濡れた音が静かな庭園に響き、思わず脚を閉じる。
「なぜ隠す。……お前は俺のものだと、みんなに見せてやりたい」
「だからって、こんなところ……!」
太ももに挟まれた右手をそのままに、左手でキリアンの尻肉をかきわけ、秘所へ触れる。
そこはしっとりと濡れそぼり、指先に吸い付くように戦慄いた。
「……すぐにでも入りそうだ」
節くれだった中指がずるりと押し込まれる。
待ち侘びた刺激に、肉壁がうねって反応を返す。
「俺が準備すると言っているのに」
「ひぐっ、ふぅ、あっ……」
小刻みにくちゅくちゅと動かし、的確に膨らんだ前立腺を弄る。
指の腹を押し付けるように擦れば、キリエルの口から甘い吐息が溢れていく。
「へや、行こうっ……あっ、あっ!声でる……っ」
「……出せばいい、俺に溺れた声を聞かせてやれ」
いつの間にか2本に増えた指がゴツゴツと狭路を拡張する。やわらかくほぐれた中は快感を蓄えて、期待に震えている。
──カシアンの熱がほしい。
次第に脚を開き、立ち上がったものをさらけ出す。前後の刺激が混ざり、喘ぎ声が一層甘くなる。
自然と腰がへこへこと動き、悦楽を堪能する。
無様に乱された姿を赤い瞳が見つめている。それだけで理性の箍が外れ、唇が緩んで涎がこぼれる。
「あぐっ、ふぅ、ああ!イ、くぅ……!カシアン、見て……、ああぁ……っ」
ぐぢゅぐぢゅとぬめった水音を響かせ、腰を突き出して射精に至る。
脈打つペニスからは濃い白濁が吹き出し、日焼けしたカシアンの肌を濡らした。
肩で息を整えながら、キリエルの眼差しはズボンを押し上げるカシアンの熱に注がれる。
「……っは、興奮したか?」
挑発的な笑みを浮かべて、素足で柔らかくカシアンのペニスを踏む。
「…………ああ、とても」
口を寄せ、舌を絡めて軍服を脱いでいく。
ズボンを寛げて露出させた逸物は、血管を浮かせて硬く立ち上がっていた。
「この舌で舐めてくれないか」
至近距離で見た瞳の奥は、火が灯ったように光っている。この目には逆らえない。
かつての冷たい支配ではなく、牽引するような熱。
引っ張り上げられるような感覚に身を委ねて溺れていく。
カシアンの脚の間に跪き、硬く膨らんだ幹を手淫する。
熱く滾った欲のかたまりが蜜を垂らすと、舌を伸ばして受け止めた。潤んだ先端にキスをするように舌で撫で、唇で吸う。
鼻で呼吸をするたびにカシアンの籠った匂いが脳を染め、しごくスピードが上がっていく。
ちらりと下から盗み見た表情は、頬が紅潮し耐えるように唇を噛み締めた余裕のないものだった。
気分が良くなり、薄く笑いかけてから、肉棒を喉奥へと飲み込む。
太くて熱いペニスが口腔内を満たす。
嗚咽が出る直前まではめ込むと、ますますカシアンの匂いが濃くなり喉が鳴る。
片手で精嚢を揉み込みながら、頭を前後に振る。
「……っぐぅ、……はあ、ぁっ」
カシアンの内腿が痙攣するように震え、頭上から低く甘い吐息が聞こえる。
頭蓋のなかで反響する水音が激しさを増す。
すると、はち切れそうなほど硬く育った肉棒から熱い飛沫が飛び出し、喉奥に絡んで胃へ落ちた。
生臭い精の匂いが脳を焼く。
びくびくと跳ねて雫を絞り出す陰茎を丁寧に舐め、奥まった玉にも舌を這わす。
「……まだできるよな?……腹にも出してもらわなきゃ」
妖艶な濡れた黄金の瞳が、月のように細く弧を描いた。
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